名門ワールド復活は本物か?M&A巧者が抱える意外な課題とは
日本だけで戦うプラットフォーム事業に将来はあるのか?
このプラットフォーム事業は、本来、
すでに死に絶えかけている国内の工場をいくら買っても一時的な円安で「国内回帰」を信じているのはごく少数。また「円高」になれば、内需が儲かるぞ、と「円安」のことなどわすれているだろう。今必要なのは、日本のブランドを海外で成功させるプラットフォームを作ることだ。もはや、ワールドの分析の仕組みが世界で通用するかは私にはわからない。実際、この領域はずっと低収益である。
最後に「デジタル」であるが、ワールドはこの「デジタル」で何を成し遂げたいのだろうか。私の分類では、アパレルのシステムとは、ERP (お金とモノの入出金)、EC + ChatGPT、メタバース。ECのリッチコンテンツ化。顧客ビッグデータとAIの解析、売れるアトリビューション(売れるタグ付けの仕組み)による計画系システム、PLMによるエコシステムによる供給業者の在庫と納期管理、債権債務の自動化、自動倉庫とこんなところだろう。ワールドは、この中のどれをねらっているのか、また、誰に売ろうとしているのか。上記のようなシステムはすでに外資に奪われ、また、メチャクチャになったバリューチェーンのデータ交換は国の後押しもあり(その後押しは私がやった)NTTデータがつくっている。と、こんな感じである。
いずれにせよ、ワールドの大躍進は紛れもない事実であり、強いワールドが帰ってくることはアパレル業界にとって素晴らしいことだ。24年2月期決算も決算期変更に伴う11か月変則決算だが、23年3月期並みのコア営業利益を計画しており、数字の上では完全復活を予感させる。この先ひょっとしたら、また、私たちをビックリさせるような秘策をひっさげ、私たちの前に現れてくれるかもしれない。
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プロフィール
河合 拓(経営コンサルタント)
ビジネスモデル改革、ブランド再生、DXなどから企業買収、
デジタルSPA、Tokyo city showroom 戦略など斬新な戦略コンセプトを産業界へ提言
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