名門ワールド復活は本物か?M&A巧者が抱える意外な課題とは

河合 拓 (代表)
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ワールドの「分類学」VS 海外SPAの「アトリビューション」

 経産省の有識者会議に私が呼ばれた時も、こうした常識を知っている人間が皆無で、大学教授など立派な肩書きの人物たちが並んだ。彼らの1人が、「200%の供給過多にある」と宣ったあとに、なんと「AIで問題解決の可能性がある」などとデタラメな説明をしていた。こ私は教授のトンデモ理論を途中で遮って、いかに間違っているかを事細かに指摘し完全論破した結果、教授はよほどの辱めを受けたと感じたようで、「河合さんは時間を守ってください」といわれ、私は「こんな素人集団ばかりで、ろくに四則演算もできない議論になんの意味があるのか」と議論のやり直しを求めた結果、私は「名誉の出禁」になった。

 さて、こんな人達とお付き合いすることに無駄を感じた私は、だまされない人材育成することの方が大事だと考え、今のアパレル産業の惨状を知らせるため、教育に力をいれていた。そうしたら、「河合さん、来年の授業の話をしましょう」と嘘をつかれ、メール一本で「もう、河合さんの場所はありません」と私と、私の担当の事務員の女性が、メール一本で、今度は「IFIビジネススクール」をある圧力によって突然解雇されたのである。このあたりの話は、この夏、本オンライン上で公開する小島健輔先生との第二弾の議論で明らかにするとともに徹底討論し、日本のアパレル産業のダメダメ構造を明らかにしてゆく予定なので楽しみにしていただきたい。

  さて、話をワールドに戻す。ワールドはSPARKS構想を打ち立てたときのUVASのクラウド版をつくっていることは明らかだ。しかし、私は、ワールドによる、「商品コード」を複雑に分類した「分類学」こそ、日本のアパレルをダメにした原因であるという仮説をもっている。というのは、私が7年前にNECのセミナーで話したとおり、海外のSPAは、商品コードでなくアトリビューション(着こなし属性)コードで、「ヒットの要因」をあぶりだしている。素材や生産拠点を日本のようにあっちにこっちに動かさなくとも、その「ヒットの要因」(アトリビューション)を組みあわせることで、売れ筋商品を「売り切れ御免」(Subject to unsold)で販売しているのである。

 例えば、「ルーズフィット x ナチュラル・カラー x スポーツデザイン」という3つのアトリビューションがヒットの要因であることがAIによる分析でみえたとする。その場合、「6月は父の日だからポロシャツが売れる」とか、「アパレルは20年周期だから、ラルフローレンが今売れる」など、私から言わせれば、都市伝説レベルの理由付けでアパレル産業はお茶を濁し、売れなければ「天気」と「トレンド」の責任にしてきた。しかし、中国Shein (本社をドバイに移した)は、自らをテック企業と定義し、ヒットのアトリビューションの組みあわせをセルサイドとバイサイドで組みあわせている。生粋のデジタル企業であるということを、日本企業は全く分かっていない。

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記事執筆者

河合 拓 / 株式会社FRI & Company ltd.. 代表

株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。大手通販 (株)スクロール(東証一部上場)の社外取締役 (2016年5月まで)。The longreachgroup(投資ファンド)のマネジメントアドバイザを経て、最近はスタートアップ企業のIPO支援、DX戦略などアパレル産業以外に業務は拡大。会社のヴィジョンは小さな総合病院

著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「生き残るアパレル死ぬアパレル」「知らなきゃいけないアパレルの話」。メディア出演:「クローズアップ現代」「ABEMA TV」「海外向け衛星放送Bizbuzz Japan」「テレビ広島」「NHKニュース」。経済産業省有識者会議に出席し産業政策を提言。デジタルSPA、Tokyo city showroom 戦略など斬新な戦略コンセプトを産業界へ提言

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