さて、話をワールドに戻す。ワールドはSPARKS構想を打ち立てたときのUVASのクラウド版をつくっていることは明らかだ。しかし、私は、ワールドによる、「商品コード」を複雑に分類した「分類学」こそ、日本のアパレルをダメにした原因であるという仮説をもっている。というのは、私が7年前にNECのセミナーで話したとおり、海外のSPAは、商品コードでなくアトリビューション(着こなし属性)コードで、「ヒットの要因」をあぶりだしている。素材や生産拠点を日本のようにあっちにこっちに動かさなくとも、その「ヒットの要因」(アトリビューション)を組みあわせることで、売れ筋商品を「売り切れ御免」(Subject to unsold)で販売しているのである。
例えば、「ルーズフィット x ナチュラル・カラー x スポーツデザイン」という3つのアトリビューションがヒットの要因であることがAIによる分析でみえたとする。その場合、「6月は父の日だからポロシャツが売れる」とか、「アパレルは20年周期だから、ラルフローレンが今売れる」など、私から言わせれば、都市伝説レベルの理由付けでアパレル産業はお茶を濁し、売れなければ「天気」と「トレンド」の責任にしてきた。しかし、中国Shein (本社をドバイに移した)は、自らをテック企業と定義し、ヒットのアトリビューションの組みあわせをセルサイドとバイサイドで組みあわせている。生粋のデジタル企業であるということを、日本企業は全く分かっていない。
株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。大手通販 (株)スクロール(東証一部上場)の社外取締役 (2016年5月まで)。The longreachgroup(投資ファンド)のマネジメントアドバイザを経て、最近はスタートアップ企業のIPO支援、DX戦略などアパレル産業以外に業務は拡大。会社のヴィジョンは小さな総合病院
著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「生き残るアパレル死ぬアパレル」「知らなきゃいけないアパレルの話」。メディア出演:「クローズアップ現代」「ABEMA TV」「海外向け衛星放送Bizbuzz Japan」「テレビ広島」「NHKニュース」。経済産業省有識者会議に出席し産業政策を提言。デジタルSPA、Tokyo city showroom 戦略など斬新な戦略コンセプトを産業界へ提言