ESG経営が「リスクまみれのD2C化」を推進する理由

河合 拓
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D2Cがもつ余剰在庫リスクとは

Adrian Vidal/istock
Adrian Vidal/istock

いかなる変化にも、必ず「必然性」と「トリガー」がある。今、D2C という名を見ない日がないほど「D2C」というワードがあちこちで踊っている。今も昔もアパレル業界に「中間流通を外せばコストは下がる」という発想があるからで、これは上記に上げた「南下政策」と無関係でない。

しかし、アウトソーシングというのは、本来は、その機能が競争優位の源泉であれば、例えコストが高くとも内製化すべきだ。単ににコストだけでものを考えるから、気づけば全てが「空洞化」するのだ。持つべき機能を外注化すれば、短期的利益を求めても中長期にジワジワと競争力を削いでゆく。こうした日本市場の歴史の必然的結果として生まれたのが日本のD2C(あえて、日本市場という言葉を使わせていただいた)である

工場が企画機能をもち、縮小著しい日本の小売やアパレルに供給を繰り返していても業績は下降線を描くだけである。当然、彼らはなんとかしたいと思いダイレクトに消費者に販売したいと考える。今ECモールさえあれば、日本中、いや、世界中の消費者に商品が届けられる。こうして、あちこちに無数の工場のECサイトができあがったのである。これをD2Cと呼ぶかどうかは読者の判断におまかせしよう。

 

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