ヤオコーに学ぶ!フライ類に頼らず売場で「シズル感」を出す方法

解説=池田恵里(Erica Company代表)
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総菜新戦略

フライ類に頼らず売場で「シズル感」を出す!SMならではの価格、メニューを訴求

食品スーパー(SM)の総菜開発において、多くの業界関係者がベンチマークする企業の代表格がヤオコー(埼玉県/川野澄人社長)だ。新型コロナウイルスの影響により消費者ニーズが変化するなか、同社はどのような手を打っているのか。フードコンサルタントの池田恵里氏が、今後のSMの総菜開発の方向性について提言するとともに、ヤオコーの店舗調査で見えた好事例を紹介する。

ヤオコー川越南古谷店
ヤオコー川越南古谷店※外観写真は2017年3月の新装開店時に撮影

中食市場が極端に縮小することはない

池田恵里(Erica Company代表)
池田恵里(Erica Company代表)

 新型コロナウイルスの感染拡大により、まとめ買い需要や、節約志向、自宅で過ごす時間が増えたことによる内食需要の高まりなどにより、食品スーパー(SM)各社の業績は好調だ。しかし総菜カテゴリーに限っては、売上が振るわないチェーンが少なくない。

 SMの主要3団体が発表する「スーパーマーケット販売統計調査」によると、SM全店売上高に占める総菜の構成比は、2月の10.4%から、3月は9.5%、4月には8.9%にまで落ち込んだ。

 コロナ禍では、中食から内食志向へとシフトするという声もあるが、総菜は今後もSM各社にとって継続して強化するべきカテゴリーだと考える。

 その理由の1つに、7月に400人を対象に実施した独自のWEBアンケート調査の結果がある。全体のうち「今後も総菜を購入する機会が増える」と回答した人は42%(「そう思う」「やや思う」の合計)に上ったのだ。この数字から総菜にはいまだ需要があり、中食市場が極端な縮小に向かうことはないと思われる。

 もう1つの理由は、SM企業にとって総菜は、粗利益を確保するうえで貢献度が高いカテゴリーだからだ。総菜はSMのなかでも、企業の“儲けの源泉”とも言われる粗利益率が高い商材であり、その点で収益確保のうえで重要な存在と位置づけているチェーンもあるはずだ。

上限を見極めた商品の価格対応

 では、コロナ禍においてSMは総菜の売上向上をいかに図っていくべきか。そのヒントを得るべく、SMの総菜開発において常に業界の注目を集めるヤオコーの最新の取り組みを調査した。今回は、ヤオコーのお膝元である埼玉県川越市にある、ショッピングセンター「ウニクス南古谷」内に入る繁盛店「川越南古谷店」(2003年3月開業)を中心に売場や商品情報を取材した(※調査期間は2月~7月、月に1回店舗を訪問)。

 川越南古谷店のなかでも特徴的だった売場を順に解説していくと、まず弁当については7月の調査時で14SKUをラインアップしていた。

 注目したいのは、商品の価格設定だ。

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