コロナ禍の新店オープン オーケーの周到な感染防止対策

大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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買物カート・カゴでも
感染を予防する工夫!

 食品スーパーでの買物時、他者との接触が気になる箇所の1つに、買物カート・カゴの持ち手部分が挙げられる。不特定多数の人が触る部分であるが、営業中に1つ1つを店側で除菌するのは難しい。そこでオーケーでは買物カート・カゴ置き場の横に、アルコール除菌液とペーパータオルを設置。来店客が使用する前に、自身で除菌してもらえるようにしている。

 来店客が買物カート・カゴの持ち手を除菌できるように、店頭にはアルコール除菌液とペーパータオルを設置している

来店客が買物カート・カゴの持ち手を除菌できるように、店頭にはアルコール除菌液とペーパータオルを設置している

Googleマップの
「現在の混雑状況」を活用

 もう1点、同社の秀逸な取り組みは、ホームページ上の各店舗の情報を掲載するページにおいて、Googleマップ上で表示される「現在の混雑状況」の確認を促していることだ(表示されない店舗もあり)。そうすることで利用者が混雑時を避けて来店できるようにしている。

各店舗のホームページでは、Googleマップ上で表示される「現在の混雑状況」の確認を促している
各店舗のホームページでは、Googleマップ上で表示される「現在の混雑状況」の確認を促している

 そのほかレジでは、同業他社も行っているように、列の前後の人との距離を保つためにシールで床に立ち位置を記すほか、飛沫防止のためにチェッカーと来店客の間への透明ビニールの仕切りの設置などを行っていた。今後、武蔵浦和店ではレジ待ちによる混雑が発生した場合、入場制限も行う方針だ。

列の前後の人との距離を保つためにシールで床に立ち位置を記す
レジでは、列の前後の人との距離を保つためにシールで床に立ち位置を記している
接触を減らすためにマイバッグや折り畳みコンテナへの詰め替えサービスも中止している
接触を減らすためにマイバッグや折り畳みコンテナへの詰め替えサービスも中止している

 これらのさまざまな施策の効果もあり武蔵浦和店は、オープン日にもかかわらず大きな混雑を生むことなく、人との距離を保ちながら買物ができる環境を提供していた。

 オーケーの二宮涼太郎社長は「この状況下での開店に批判的な声もあるのではと心配していたが、実際には『楽しみにしていた』『店ができて助かる』という言葉をいただいている。地域の同業他社さんとともに、現在の食品スーパーに集中するニーズに対応していきたい」と語っている。

 新型コロナウイルスの影響が長期化すれば、食品スーパーに需要が集中している状況下でも新店を開業するケースは増えてくるだろう。そうしたなかオーケーの対応策は参考になる先例と言えそうだ。

 

※4/28 9:30 誤字脱字を修正しました。

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記事執筆者

大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

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