ハブ&スポークシステムで強化される米国物流 その発明がもたらしたものとは

千田 直哉 (編集局 局長)
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米国小売業の物流政策は日進月歩だ。なかでも群を抜いているのはウォルマートである。2021年8月には、提携したガティック(Gatik)社と自動運転無人配送トラックの実用化をスタートさせている。

i-stock/Rawf8

「ハブ&スポークシステム」という発明

 その内容は、ダークストア倉庫と小型店舗であるネイバーフッドマーケットを2台の無人トラックが往復ループ輸送するもの。店舗内にMFC(マイクロフルフィルメントセンター)を併設できないネイバーフッドマーケット向けの試みである。物流面でのハブ&スポークシステム導入は、すでに10マイル以内に米国民の90%が居住すると言われるウォルマートの店舗網の強みをさらに強化させそうだ。

 さて、ハブ&スポークシステムということで思い出したのは発明者のフレッド・スミスだ。念のため説明をすると、「ハブ」は自転車車輪の軸、スポークは「ハブ」から放射状に伸びた輻(や)のことを指す。スミスは、元アメリカ合衆国の海兵隊員。退役後に通ったビジネススクールでハブ&スポークシステムについてひらめき、論文を提出した。

 「6か所の空港を直行便で結ぶと15本の空路が必要。しかし、ハブ空港を設ければ、5本の空路のみで済む」ことを発見したのだ。実に単純明快である。

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記事執筆者

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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