ハブ&スポークシステムで強化される米国物流 その発明がもたらしたものとは

千田 直哉 (編集局 局長)
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悔しさが生んだFedEx

 自信満々の論文だったが、担当教授の評価は「C」と低いものだった。「何くそ」と奮起したスミスは、71年にウォルマートの本部があるアーカンソー州のリトルロックで運送業を起こす。ハブ&スポークシステムを駆使することで、荷物の翌朝配達を実現した。
 故小倉昌男さんの著書『経営学』(日経BP社)では、ヤマト運輸の宅急便サービスもハブ&スポークシステムが土台になっていることが明かされている。

 スミスの発明はノーベル賞ものの価値があった。けれども、本人以外は理解できなかったのである。

 さて、スミスが起こした企業はその後どうなったのだろうか?運送会社の名前は、フェデラル・エクスプレス社(フェデックス/FedEx)。世界最大の航空貨物郵送企業であり、220の国と地域を結び、航空機679機と18万台の貨物車を所有、チームメンバー数50万人超、1営業日当たり1700万個以上の貨物を扱うまでに成長を遂げた。

 そして、起業意欲の火付け役となったスミスの論文は、テネシー州メンフィスに移った本社に「悔しさのバネ」の象徴として飾られている。

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記事執筆者

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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