良かれと思って…変革を妨げる「意外な正体」とは

東京理科大学大学院教授:青木英彦
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大きく後れを取った日本の流通業界

 これまでの連載で、日本の流通業界、とりわけ、メーカー、卸、小売が独立している第一世代の流通業界で、流通の構造変革が遅れ、第二世代である製造小売業に競争劣位に立たされている状況を俯瞰してきた。すでに本連載で述べた通り、ECR(Efficient Consumer Response:効率的消費者対応)は、1980年代に米国で始まった業界構造変革で、今から40年以上も前に始まった取り組みである。なぜ、日本の流通業界では同様の取り組みが進まなかったのだろう?日本の経営者は、ECRの意義を知らなかったのだろうか?

配送トラックのイメージ
(写真はイメージ、andresr/istock)

 90年代半ばに筆者が参加したECRカンファレンス(米国アトランタにて開催)には、変革への熱い思いを持った日本企業の優秀なスタッフが多数参加していた。私は、日本の流通業界も間違いなくその方向で改革が進んでいくと期待していたものである。決して、日本企業が世界で起こった変革のことを知らなかったわけでもなく、また、その重要性を見過ごしたわけでもない。

なぜ変革はできなかったのか?

 2000年、私は米国勤務を終え帰国し、日本の流通業界の多くの指導者たちに取材をし、また、関係省庁とも意見交換をしながら調査を進めていたときに、見えてきたものがあった。それは、変革の重要性は

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