カインズ、ニトリ、カスミ…DX先進企業に共通すること、DXの進め方とは
「内製化」するメリットは何か
では、内製化にはどのようなメリットがあるのか。
まず考えられるのが、ITエンジニアが自社の業務を深く理解しているという点だ。たとえばシステム開発を外部ベンダーに委託した場合、納品されたものと現場が求めていたものとで「ズレ」があったというケースも少なくないという。自社の業務を熟知したITエンジニアであれば、的確に現場のニーズを拾い上げ、開発を進めることができるというわけだ。
もう1つは開発スピードの問題だ。ユーザー、小売業で言うところの「お客さま」が目にするアプリやECサイトなどは、UI(ユーザインターフェース)やUX(顧客体験)をつくり込む必要がある。一方、従業員だけが使用する社内システムであれば、細部までこだわる必要はなく、一定の品質が保たれていれば問題ない。その分、開発にかける工数も減り外注よりも早く開発することができる。これらの2つの利点により、結果的に外注よりも開発コストが安くなる、というケースも多い。
そのほか、デジタルは自社の競争力の核であるため、ベンダーに依存すべきではないという考えもある。本特集のインタビューに応じたカインズの高家社長CEOは「デジタル領域を成長ドライバーととらえ、企業の競争力の1つと位置づけるならば、プランニングや戦略立案、コア領域の設計・開発といった核の部分は内製化すべき」と断じる。
言うまでもなく、小売業の競争力の源泉とは、商品開発や売場づくりであり、これらを丸ごと外注する企業は存在しない。デジタル活用もこれらと同じと考えるのであれば、内製化すべきであるというのだ。