反動減に値上げラッシュ、コスト増直撃! 上場小売業2022年度決算全まとめ

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決算1280

小売業の2022年度決算(22年4月~23年3月に迎えた本決算)では、主要7業態のうち増収だったのは2業態にとどまり、本業の“稼ぐ力”を示す営業利益では3業態が減益となった。前年度に巣ごもり特需の恩恵を受けた業態はその反動減の影響が大きかったほか、世界情勢を背景とした値上げラッシュ、エネルギーコストの上昇など強い逆風にさらされた小売業の22年度決算。各業態・各指標のランキングはどう変化したのか。

コスト上昇の影響甚大、各業態とも減益基調に

 小売各社の業績を主要業態別にまとめたのが図表❶だ。

図表❶主要7業態別2022年度業績

 増収・営業増益となったのはドラッグストア(DgS)の1業態のみだった。前年度に続いて増収・営業増益を果たしたDgS。2022年度は、電気代を中心とした水道光熱費の高騰により営業減益となった企業が一部あったものの、各社の出店意欲は依然として旺盛で、コロナ特需の反動の影響が薄まったこともあって業績はおおむね好調だった。

 増収・営業減益となったのは、食品スーパー(SM)の1業態。コロナ禍での内食需要拡大からの反動減、ロシアのウクライナ侵攻や円安を背景とした仕入れ原価の上昇、それに伴う粗利益率の悪化と、22年度のSMは強い逆風にさらされた。その中でもとくに影響が大きかったのが電気代の高騰だ。店内に多くの冷蔵・冷凍ケースを設置するSMは、ほかの業態と比べて電気代上昇の影響が大きく、各社とも利益確保に苦戦した。

 減収・営業増益となったのは、総合スーパー(GMS)とコンビニエンスストア(CVS)、百貨店の3業態だった。ただし、このうちGMSと百貨店の減収は、「収益認識に関する会計基準」(新収益認識基準)の影響によるところが大きい。

 新収益認識基準では、商品が販売されると同時に仕入先から仕入れとして計上する「消化仕入れ」や、テナント売上高の会計処理の考え方が変わる。そのため適用後は、

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記事執筆者

ダイヤモンド・チェーンストア編集部 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア

ダイヤモンド・チェーンストア編集部は、業界をリードする提案型編集方針を掲げ、小売業の未来を読者と共に創造します。私たちは単なるニュース伝達に留まらず、革新的なビジネスモデルやトレンドを積極的に取り上げ、業界全体に先駆けて解説することを使命としています。毎号、経営のトップランナーへの深掘りインタビューを通じて、その思考や戦略を読者に紹介します。新しくオープンする店舗やリニューアルされた店舗の最新情報を、速報性と詳細な分析で提供し、読者が他では得られない洞察を手に入れられるよう努めています。私たちの鋭い市場分析と、現場の細部にわたる観察を通じて、注目すべき店舗運営の秘訣を明らかにします。

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