デジタル活用で「感じよさ」を提供する良品計画のDX戦略とは

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DX白書1280

「無印良品」を全国に展開する良品計画(東京都/堂前宣夫社長)も、かねてデジタル活用に力を入れている企業の1つだ。同社のデジタル活用のユニークな点は、多彩なサービスや機能を提供するのではなく、ユーザーの「感じよさ」を重視した、“引き算”のアプローチがとられている点だ。良品計画はデジタルの力で何を実現しようとしているのか。責任者に話を聞いた。

※本稿は2023年3月1日発行の別冊「流通テクノロジー」で掲載された記事です。取材内容や所属などは発行日時点のものです。

累計2900万DL!MUJI passportの現在

 良品計画(東京都/堂前宣夫社長)は、2013年にスマホアプリ「MUJI passport(ムジパスポート)」をリリースし、デジタル活用にいち早く取り組んできた。顧客とより深くつながるダイレクトコミュニケーションツールとして、最新情報やコンテンツの閲覧、「MUJIマイル」の付与、「MUJIショッピングポイント」やクーポンの利用、商品検索、在庫状況の閲覧などの機能を搭載。また、17年には自社ECサイト「ネットストア」との連携を強化し、「MUJI passport」からネットストアで商品を購入できる機能なども追加された。

「MUJI passpot」の画面
累計ダウンロード数は2900万件を誇る「MUJI passport」は、顧客とより深くつながるダイレクトコミュニケーションツールとして重要な役割を担う

 「MUJI passport」のダウンロード(DL)数は順調に伸び続け、日本国内で累計2900万件(22年12月末時点)に達している。良品計画では、アプリ滞在時間や商品閲覧数、コンテンツの閲覧数といった指標をもとにコミュニケーションの量や質をモニタリングしている。

 「MUJI passport」のユーザーの特徴は、来店頻度が高く、年間利用額も多いという点だ。EC・デジタルサービス部部長の山内智裕氏は「『MUJI passport』を介して店舗と直接つながると、商品やサービスへの理解が深くなり、来店頻度や年間利用額が上がる傾向にある」と分析する。

 良品計画では、「MUJI passport」をハブとして、店舗とオンラインをシームレスにつなぎ、店舗とオンラインで差のない顧客体験を提供することをめざしている。ネットストアでは店舗のほぼすべての商品を取り扱い、ネットストアで注文して店舗で受け取る「店舗受け取りサービス」の対象商品や対応店舗を拡大。一部の店舗ではネットストアで注文した商品を専用ロッカーで受け取るサービスにも対応している。

無印良品の「店舗受け取りサービス」ロッカー
店舗とオンラインをシームレスにつなぎ、店舗とオンラインで差のない顧客体験を提供することをめざす良品計画。現在は、ネットストアで注文した商品を店舗で受け取る「店舗受け取りサービス」の対象店舗を拡大中だ

EC比率15%へ、細かなUI改善に注力

 良品計画では、

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記事執筆者

ダイヤモンド・チェーンストア編集部 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア

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