行き過ぎた安売りは売上も利益も減るだけ 儲かって楽しいスーパーを「日配売場」からつくる方法

文・解説=伊東正寿(ITOU企画代表/独立行政法人 中小企業基盤整備機構 九州本部チーフアドバイザー)
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強いスーパー大

食品スーパー(SM)の日配部門は、店舗における“価格訴求の要”となっているケースが多い。しかし、ドラッグストア(DgS)やディスカウントストア(DS)などとの激しい競争にさらされ、「収益性」とはかけ離れた単価の下落や、競争に負けた結果としての購入率の減少など、“低価格戦略”のリスクは高い。一方で、新型コロナウイルス(コロナ)禍で日配部門は変革期を迎えている。売場での提案やSNSを活用した情報発信などにより、日配部門の新たな方向性を模索したい。

プロの提言!
▶日配品=低単価の常識を見直そう
▶SNS活用はファンづくり&ロス改善につながる
▶日配部門で“働く楽しさ”も追求しよう

日配部門で単価下落が止まらない理由

 コロナ禍の影響で飲食店は苦戦が続き、廃業を余儀なくされる店舗も相次いでいる。そんななか「巣ごもり需要」「おうち時間」の増加から一気に内食需要が高まり、「飲食店応援」や「お取り寄せ」等の通販の需要が急激に伸びてきている。

 一方でS Mは「生活応援」「低価格化」の方向に舵を切り、日常生活の食を供給する場所にしか社会的役割を見出していない現状が、とくに日配部門の売場に表れている。「豆腐1丁18円」「ゆで麺1袋15円」「納豆3パック58円」「食パン1斤78円」──。10年程前はオープン特価でもあり得なかった価格だ。お客は現状の価格に慣れてしまい、買い上げ点数が伸びるわけでも客数が伸びるわけでもないことに売り手は気づいているだろうか。

 お客は「いいもの」は通販や専門店で購入し、とくに日配品は低単価のものだけをSMで購入する傾向にある。日配の低価格化の要因としては、急成長をとげているDgSやDSの価格が地域の標準価格となっていて、その価格ばかり意識した結果として購入率の低下、単価の下落を招いている。

 日配商品ほど原料や製法で品質や味に大きく差が出てくる商品はないのだが、それらを軽視している経営者やバイヤーが、集客最優先で根拠のない低単価を打ち出しているケースが散見される。そのことが、本来売り込むべき定番の100~300円ラインの商品の売れ行きにまで影響してきていることに気づいているだろうか。

 SMビジネスに携わる人なら誰しもが理解しているべき商品構成グラフの傾向、つまり低単価(グラフの左側)にもっていけばいくほど、高単価商品(本来SMが売るべき商品)がそれに引っ張られるようにして売れなくなるのだ。

 高頻度商品の低単価政策をとると、日配部門の定番の販売数が落ちてロスが増える。食品ロス削減の観点からも商品を前から(古い日付から)とる習慣も根付きだしてきたが、コロナ禍におけるまとめ買いの習慣から再びロスが増加してきて、豆腐や納豆の日付が4~5種類という店舗も見られる。筆者の現役時代は、少なくとも2種類のみになるよう単品管理を徹底していたことからすると、だいぶ違和感を覚える。

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