急拡大する冷凍食品 スーパーが需要を取り切れていない現実と「夕食のおかず」が狙い目のワケ

文・解説=中村徹(トルティーノ)
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強いスーパー大

元来の保存性の高さや価格の安さに加え、製造技術の革新により味や品質が大きく向上し、安定的に需要を拡大している冷凍食品。新型コロナウイルス(コロナ)禍でもその傾向に変化はないものの、消費者のライフスタイルや食卓の変化に対応した商品づくりが今後は求められていく。

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冷凍食品への支出は約20年で70%増

 図表は、2000年を100%としたときの「冷凍調理食品」(以下、冷凍食品)と「牛乳」の1世帯当たりの年間支出金額の推移を18年まで示したものである。牛乳を対比させた理由は後に触れるとして、00年以降、冷凍食品はほぼ右肩上がりで支出が伸び、18年には対00年比で170.5%まで達した。

図表●1世帯当たり年間品目別支出金額の推移(牛乳・冷凍食品)

 ここで少し、家庭用冷凍食品の歴史を振り返っておこう。冷凍庫付き冷蔵庫の一般家庭への普及に伴い、ダイエーなど大手小売業が冷凍食品売場を設置しだしたのが1960年代。80年代には冷凍讃岐うどんのヒットにより「冷凍麵」が市場に浸透した。90年代には電子レンジ対応の冷凍コロッケが登場し、「レンジで解凍」という使い方が一般的になった一方、弁当用の自然解凍商品も急増した。

 2000年代に入ると、「本格炒め炒飯」などが発売され米飯類が大きく伸長。10年代は調理時に水も油もいらない冷凍餃子が話題を集め、同時にラーメンやパスタなどの麺類でヒット商品が相次ぎ、冷凍食品市場の競争環境が激化した。また、11年の東日本大震災発生直後は一時的に、今日のような外食自粛ムードとともに内食化の流れが発生。メーカー各社はラインアップを見直すきっかけともなった。

 もちろん、こうした冷凍食品の拡大の背景には、家庭用冷凍室の大型化やハイパワーの電子レンジの普及など、ハード面の寄与があったことも一面としてある。

コロナ禍で市場はさらに伸長
弁当商材は「家飲み」用に

 そうした流れでコロナ禍を迎えたわけだが、食品小売各社における20年の冷凍食品の売上の伸びは、推定で110~115%程度となっているようだ。とくに昨年4月の1回目の緊急事態宣言下では、学校の一斉休校やテレワークへの移行が大規模に行われ、家庭内での昼食需要が膨れ上がる状況となった。

 冷凍食品はその受け皿の1つとなり、とくに「一食完結型」の具材付きラーメンやうどん、パスタなどの麺類、チャーハンなどの米飯は前年実績から120~130%程度伸びたようである。

 一方、

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