第86回 SCの適正なリニューアル時期と真のSCリニューアルとは

西山貴仁(株式会社SC&パートナーズ 代表取締役)
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前回、ショッピングセンター(SC)のリニューアルの重要性と将来にわたるリニューアル費用の留保について指摘したが、今回は適正なリニューアルの実施時期とこれから考えなければならない方向性について考えたい。

Explora_2005/istock
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SCリニューアル費用の留保

 建物や構造物は時間の経過により劣化するため一定の頻度で改修・修繕投資が発生する。SCは、この他に競合との差別化や消費者ニーズの変化に対応する営業投資が必要となり、これをリニューアルと呼ぶ。その投資費用は、リニューアルによって上振れした利益によって回収するものと考えてきた。

 しかし、近年の人口減少による収益性の低下や工事費の高騰からリニューアルによる収入増加を前提にしたリニューアルの投資実行は難しい。そのため、継続的に毎期の利益の一定額をリニューアルのため留保しなければならないことを指摘したわけだが、残念ながら多くの企業ではSCの利益は当該年度の企業利益として決算し、SCのリニューアル投資として留保はされないことが通例である。

SCの適正なリニューアル時期とは?

 では、リニューアルの適正な時期はいつなのか。それを規定するのがSCライフサイクルで、①計画期、②開発期、③開業期、④成長期、⑤成熟期、⑥衰退期の6つの期間に分けられる。

 マスタープラン策定、基本計画、基本設計と言ったSCの骨格を決める計画期。次が、開発許可、建築確認、大店立地法などの手続きを行い建設工事に着手、テナントリーシングを行う開発期だ。そして、SCがオープンしてしばらくは開業景気を過ごす開業期、その後、一旦落ち着くものの計画が奏功すると一定の売上拡大が起こりSCは成長期へ移る。その後、顧客からの支持により売上は安定し成熟期を迎え、この頃には償却負担も減少することから営業利益が増大する。その後、老朽化や競合の登場により衰退期へ移り、売上と利益の減少を迎えることとなる。

 そのため、SCリニューアルは、このSCライフサイクルに応じて行うことが望ましい。

 成長期には計画のエラーの修正や顧客からの要望への対応や適度なリフレッシュ工事を怠らず成熟期を迎えることが適当だが、どうしても成長期は、その後の変化を予測できず、そのまま成熟期を迎えてしまう。成熟期は、売上、利益が安定しているため、さらに安心してしまい次への投資を怠りがちになるが、利益がある時こそ、社会の変化や消費者ニーズに対応した改修や改善を行うべきである。

 しかし、追加投資は減価償却費を増加させ利益を圧迫するため、どうしても投資実行をためらい、結果、SCは衰退期を迎える。ここで慌ててリニューアルを考えても一度下がった売上を戻すことは容易ではなく、更にリニューアルによるCFの増加で投資額を回収するのは相当難しい。

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