徹底分析!配送インフラを外販するウォルマートと実店舗にフルフィルメント機能を移すアマゾン
長年、物流の領域でもDX(デジタル・トランスフォーメーション)への投資を続けてきた米ウォルマート(Walmart)。それが実を結び、ついにラストマイル配送システムの外販に乗り出した。独自に開発したシステムやテクノロジーの外販といえばアマゾン(Amazon.com)のお家芸だったが、ウォルマートも物流プラットフォームという資産の“現金化”に真剣に取り組み始めている。一方のアマゾンは販売業者が有するリアル店舗そのものをフルフィルメント機能の1つとして活用するという斬新な戦略を掲げている。両社の動きを詳しく解説する。
配送インフラの外販開始!ホームデポが最初の顧客に
今年8月、ウォルマートは新規事業「ウォルマート・ゴーローカル(Walmart Go Local:以下、ゴーローカル)」の開始を発表した。これは同社のラストマイル配送プラットフォームを第三者にサービスとして提供するもの。3000以上の店舗から16万以上のアイテムを即日配送し、全米人口の70%をカバーするというウォルマートの配送力を生かし、短時間配送からオンデマンド配送まで、さまざまなニーズに対応する。ゴーローカルの配送コストはウォルマートの言葉を借りれば「競争力のある低価格」であるため、大手企業だけでなくローカルの小売業者でも利用できる、というのが売りだ。
10月には米ホームセンター最大手のホームデポ(Home Depot)がゴーローカルの最初のクライアントとなり、即日配送、翌日配送サービス拡充に向けて協働すると発表した。ゴーローカルを介した配送の対象となるのは、各種工具やペンキなど配送車に収まるサイズの商品で、今後対象商品を広げる計画だ。ちなみに配送車にはウォルマートのロゴなどは入っておらず、商品を受け取るホームデポの顧客には、ウォルマートが配送していることはわからない。
ラストマイル配送の事業化という点でウォルマートは、2018年9月に「スパーク・デリバリー(Spark Delivery)」のテストを開始、その後他社にも配送サービスを提供している。同サービスの配送システムはロジスティクステクノロジー企業のブリング(Bringg)と提携して開発、さらに、配送業務管理を行うデリバリー・ドライバーズ(Delivery Drivers)との提携によって、全米の個人事業主のドライバーが配送を担う。ドライバーは「スパーク・ドライバー・アプリ」をダウンロードし、オンデマンドで配送を請け負うという仕組みだ。
ウォルマートの通常のラストマイル配送は
物流イノベーション! の新着記事
-
2021/12/15
2022年は「配達ロボット元年」 ZMPが変える、ロボットによる物流全体最適とは -
2021/12/15
ラストマイル物流で存在高まるQコマース 小売業界、ネットスーパーをどう変えるか? -
2021/12/14
食品小売の物流を激変させる「サプライウェブ」時代が到来へ!待ち受ける天国と地獄とは? -
2021/12/14
都市型MFC ニーズ拡大!米国スーパーが続々オートストアを導入する理由は -
2021/12/13
戦略物流の実践者・松浦学氏が教える、物流変革の手順と方法、課題 -
2021/12/13
国内スーパー屈指の物流体制生みの親が教える、スーパーの物流改革と投資効果測定の手法とは
この特集の一覧はこちら [12記事]
アマゾン,ウォルマートの記事ランキング
- 2024-11-205四半期連続100億ドル超え! 急成長続くアマゾンのリテールメディア事業
- 2024-11-18ウォルマートが実践!死筋商品の整理と売れ筋のフェース拡大、その手法を全解説!
- 2020-07-07数々の米アパレルを死に追いやったアマゾン・エッセンシャルズ静かに日本に上陸
- 2022-01-24米アマゾン、初のアパレル専門リアル店舗「アマゾン・スタイル」、年内出店
- 2024-02-19ウォルマートがドローン配達を開始、アマゾンのJWOは病院にも導入
- 2023-04-19アマゾンゴー米国8店舗閉鎖の理由と、クローガーの年10億 ドルリストラ策
- 2023-11-02アークス、アマゾンと連携!最短2時間での配送を道内で実現
- 2015-04-01ビジネスモデルを根本的に変える=西友兼ウォルマートジャパンCEO
- 2019-09-24ウォルマート、会員特典付きクレジットカードの発行開始、EC利用で5%還元
- 2020-03-23ウォルマート、倉庫の最低賃金引き上げ 新型コロナでネット注文急増
関連記事ランキング
- 2024-11-25ウォルマートをも打ち負かす! アメリカ最強スーパーを形づくる4つの条件とは
- 2024-11-15クシュタールのセブン買収提案は米国内でどう報じられているのか、在米ジャーナリストが解説
- 2024-11-205四半期連続100億ドル超え! 急成長続くアマゾンのリテールメディア事業
- 2024-11-29米EV の総数は330万台、裕福なEVオーナーたちのお気に入りの小売店は?
- 2024-11-25テキサス州だけで売上6兆円近く!最強スーパー、H-E-Bとは
- 2024-11-18ウォルマートが実践!死筋商品の整理と売れ筋のフェース拡大、その手法を全解説!
- 2024-11-25グルメスーパーの代表ウェグマンズ 最強をつくる4つの特徴
- 2023-06-08アメリカ小売業トップ10社ランキングに見る、大手企業の最新動向!
- 2024-11-15標準店の1/4!ホールフーズ、都市型小型店の全貌
- 2020-07-07数々の米アパレルを死に追いやったアマゾン・エッセンシャルズ静かに日本に上陸
関連キーワードの記事を探す
ウォルマートをも打ち負かす! アメリカ最強スーパーを形づくる4つの条件とは
テキサス州だけで売上6兆円近く!最強スーパー、H-E-Bとは
アマゾン、最大級最新型FC を稼働、英国でアルディの売上が3.5 兆円に拡大!
5四半期連続100億ドル超え! 急成長続くアマゾンのリテールメディア事業
アマゾンが公開した、AI活用の動画生成ツールでできることとは