アマゾンがついに米国最大の宅配業者へと成長を遂げた背景とは

「ニューズフロント」記者 小久保重信
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米アマゾン(Amazon.com)は、ついに米国最大規模の宅配業者に成長したようだ。米『ウォールストリート・ジャーナル』紙は23年11月、宅配荷物の取扱量でアマゾンがすでに米物流大手のUPSとフェデックス(FedEx)を抜いたと報じている。

23年の宅配取扱数は米国内だけで推計59億個に

 ウォールストリート・ジャーナルが入手した内部資料や関係者の話によると、アマゾンの米国における宅配荷物取扱個数は20年にフェデックスを、22年にはUPSを抜いており、23年はこれら2社との差がさらに広がったとみられている。23年の感謝祭(11月23日)までに米国で48億個以上の荷物を配達、同年末までの1年間で59億個に達したと推計されている。

 一方、UPSの22年における取扱個数は53億個だったが、23年はこの数を上回らなかったという推計だ。フェデックスでは、国内航空輸送と陸上輸送を合わせた宅配荷物個数が、23年5月末までの1年間で約30億5000万個だった。

 なお、アマゾンの取扱個数とは同社が配達の全工程を手がけたもののみを指す。これに対しUPSとフェデックスでは、ラストマイルと呼ばれる最終配送工程を米郵政公社(USPS)に委託した分も集計に加えている。

自前配送拡大で物流大手への依存度下がる

アマゾンは宅配事業者としても米国で圧倒的な存在感を放っている
アマゾンは宅配事業者としても米国で圧倒的な存在感を放っている

 アマゾンは、10年前までUPSとフェデックスの大口顧客だった。だが、13年の年末商戦で同社の荷物量がこれら物流大手の処理能力を超え、商品が年末までに届かなかったという出来事があった。アマゾンはそれ以降、自前物流網の構築に取り組み、USPS、UPS、フェデックスへの依存を減らしていった。

 19年には、米国で受注したEC商品のうち、45%のラストマイル配送を自社便で賄うようになった。この時点でUSPSが扱うアマゾン商品のラストマイル配送は28%に減少。UPSでは21%、フェデックスではわずか1.4%にまで減った。

 こうした状況を受け、フェデックスは19年8月までにアマゾンとの米国内陸上貨物輸送、および航空貨物輸送の契約を打ち切った。フェデックスは現在、米ウォルマート(Walmart)や米ターゲット(Target)など、アマゾンの競合向けサービスに重点を置いている。

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