DXなしでは淘汰される中国スーパーマーケット業界の厳しい現状

中国の食品スーパー(SM)企業の2021年第1四半期の財務報告書が業界に衝撃を与えている。主要SMが軒並み大幅な減収減益になったのだ(図表)。業界トップの永輝(Yonghui)ですら、純利益は対前年同期比で98.5%減と、赤字転落こそ避けられたものの大幅な落ち込みを見せている。
第1四半期は春節を含んでおり、本来は各社にとって最も稼げる季節のはずだ。それにもかかわらず各社が落ち込んだ原因ははっきりしていて、大きく3つを挙げることができる。
1つは、16年頃からアリババ(Alibaba)などのネット企業が展開している新小売系SMや生鮮ECの存在だ。スマホで注文すれば30分以内に商品が届くため、デジタルリテラシーの高い若年~中年層が既存SMから流出している。
もう1つは、20年から急成長している「社区団購」の存在だ。これは前日までに注文を行い翌日に指定の場所で商品を受け取るというもので、大型マンションなどを対象とした地域コミュニティ向け共同購入サービスである。社区団購は前日にまとまった数の注文が確定するため、配送システムがシンプルで、そのため既存SMよりも価格競争力が高い。利用ハードルも低く、デジタルリテラシーのさほど高くない中高年層の利用も広がっている。
場当たり的な生鮮宅配参入の功罪
そして3番目かつ、より深刻な要因となっているのが、
チャイナ&アジアトレンド の新着記事
-
2025/11/05
中国でも主流に?アリババがタッチ決済で描くシェア拡大戦略 -
2025/10/04
「ラブブ」の大ヒットに沸くも毎日が正念場? 中国玩具メーカーの“憂鬱” -
2025/09/04
中国でも増殖する小型スーパー 競争の軸は「30分配達」 -
2025/07/19
EC プラットフォーマーとお客を取り合う!? 中国で進む 買物の“ AI 化” -
2025/06/20
EC特有の不良在庫リスクを削減! 中国EC大手・京東が描く「再商品化」の新スキームとは? -
2025/05/20
300万店閉店の中国外食市場で躍進したKFC・ピザハットのリソース活用術
この連載の一覧はこちら [57記事]
関連記事ランキング
- 2025-11-05米コンビニ「レーストラック」、ファストフードチェーン買収の深謀
- 2025-11-06南アフリカ初の「ウォルマート」開業 英国の「アマゾンフレッシュ」閉鎖へ
- 2020-02-14生協の最新物流センターがすごかった! テスコ同様のシステム導入で高い生産性を実現
- 2024-10-28売上6000億円超のコープデリ連合会、宅配利益率4%も危機感の理由
- 2025-04-09Uber Eats Japan代表が語る「2025年 3つの成長戦略」の中身とは
- 2023-11-16ユニファイド・コマースが来る!グロサリーショップ2023詳細レポート
- 2024-11-25ウォルマートをも打ち負かす! アメリカ最強スーパーを形づくる4つの条件とは
- 2020-01-10カルフール、オフィス向けランチ宅配のスタートアップ企業を買収
- 2020-03-27プロロジス、オイシックス専用の冷蔵倉庫を着工、神奈川県で
- 2020-08-17ヤオコー、川越的場店でネットスーパー開始、7店舗目




前の記事
