「AJS」の研修会で喋り倒し、「京都ロピア」に脱帽した話
普段の落語会とはまったく違う雰囲気に圧倒される
さてさて講演会の話ですが、「スーパー好きな人たちが集まっているのだからめちゃくちゃウェルカム状態だろう」と気楽な気分でいたのは、会場に着く直前まで。会場受付横を通り過ぎ控室に通されたところで、
「いや待てよ、学校寄席とか客席が内輪の何かでくくられている時、いつもの感じで出て行ったらとんでもない惨劇が訪れることがあるよな」
という過去の経験から”何か”を感じた私は、会場の様子を見るため、そのとき行われていたAJSの田尻一会長の講演をこっそり拝聴。その場の雰囲気からして、
「これは予想的中の可能性ありだな」
と思いましたが、本番直前でやり方を変えることはできないし、そもそも替えがない。
結果、思っていたとおり、ふだんの落語会とはまったく違う空気が京都ホテルオークラに流れました。まったく反応がない、ということではなく、落語会での反応とあまりにも違い、かなり面食らったというのが正直な感想です。
そして私は帰りの新幹線でようやく気が付いたのです。落語会でスーパーの話をしている時は私がその現場で一番スーパーに対しての熱量が高いことが多いのですが、この日は私の熱量を遥かに超えた人たちしか現場にいなかったのです。これを落語界に置き換えて考えると、落語家200人が集まって今後の落語界についての話をしているところに、他ジャンルの誰だかよく知らない人が出て来て、「数年前から落語にめちゃくちゃ興味持ちました!みなさんはどうですか?」みたいなことを言うのに近いのではないか…と。そのとき一瞬意識が遠のきました。
ちょっと考えればわかりそうなもんだろと思うかもしれませんが、そんなことがわかる人間じゃないんです私は! でも始まる前に気が付いていたら、怖くて高座に上がれなくなっていたかもしれないので気付かなくてよかった!
こういう講演の依頼は今後来ないだろうと思うし、来たら断ろうとも思いましたが、私のことを呼んでくれた運営の女性の方から届いたお礼のメールに、「志ら乃師匠のスーパーを気軽に楽しんでる雰囲気をこの会合にも欲しくて今回お呼び致しました」という旨の文面が書かれており、これは運営の方の心の声だなと感じた次第。もし、同様の依頼をまたいただいた場合はどのような話をするかということを考え始めました。
一般のスーパー利用者という立場から感じた話をするのはもちろんいいと思うのですが、事務方が一人もいない落語立川流の一門会の運営を現在私がほぼ一人で行っているというレアな立場の目線をどうしてもっと入れなかったのかなど、いろんな反省や改善策を思考中です。「お店を運営するうえで従業員から上がってくる、聞いた方がいい意見とそうでない意見の線引きどうしてますか?」みたいな話とかを振ってみてもおもしろいのかな、と。
久々に目が覚めるような経験をさせてくださった「オール日本スーパーマーケット協会」さま! 本当にありがとうございます!!
立川志ら乃
1974年2月24日生まれ。98年3月、立川志らくへ入門。2012年12月に真打ち昇進。16年7月に「スーパーマーケットが好きである」ことを突如自覚。スーパーに関する創作落語に「グロサリー部門」「大豆なおしらせ」など。寄席やイベントなどのスケジュールは下記Twitter・ブログをご参照ください。
Twitter:@tatekawashirano
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