「コロナ禍初期みたい」=観光減、飲食業に再び試練―県南部や金沢市でも悲鳴・能登地震

時事通信社
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開業を控えた北陸新幹線、加賀温泉駅前にある「喫茶みちくさ」
〔写真説明〕開業を控えた北陸新幹線、加賀温泉駅前にある「喫茶みちくさ」=24日午後、石川県加賀市(時事通信社)

 能登半島地震は、大きな被害が出た石川県北部以外の地域でも観光客の減少を招き、新型コロナ禍の苦境を耐えてきた飲食業に、再び試練を与えている。客足が途絶えた現状に「コロナ禍の最初のころみたいだ」と危機感を募らせる店もある。

 県南部の加賀市にあるJR加賀温泉駅は、3月16日に北陸新幹線が延伸し、新幹線駅として開業する。駅前の「喫茶みちくさ」のスタッフ村中芽衣さん(40)は「コロナでなかなかお客さんが来ない時期もあったが、もうすぐ新幹線や!と盛り上がっていた」と地震前を振り返る。

 同駅は温泉街の最寄り駅で、近くの飲食店の売り上げも宿泊観光客の客足に左右される。「宿泊予約は、1月は5割以上、多いところでは6~7割がキャンセルと聞いている」と市担当者。村中さんは「年末まではキャリーケースを引いた人が店の前を通っていたが、それも途絶えてしまった」と落胆する。

 地震で厨房(ちゅうぼう)の床にひびが入るなどの被害も出たが、コロナ禍を乗り越えたばかりで、「修復は金銭的にも難しい」という。「旅行支援はあるようだが、他の業種、能登以外の地域にも支援があればうれしい」と語った。

 一方、同じ県内でも、災害復旧や支援の拠点となる金沢市の宿泊需要は高い。市担当者によると、「(観光客の)キャンセルは多いが、それ以上に災害復旧関係者の予約が増えている」という。

 しかし、JR金沢駅近くの飲食店「味楽ゆめり」の店主前田衛さん(43)は「復旧を支援する方が来てくれるが、観光客は減り、地元の方も外に出て食べなくなった」と顔を曇らせる。前田さんは甚大な被害を受けた能登町の出身。「商売ができているだけでもありがたい。僕らも頑張って、利益を少しでも被災地に届けたい」と力強く語った。

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