アフターコロナ ネットスーパーとクイックコマースが成長、収益化のためにすべきこととは
ネットスーパーの市場規模は10年前の約3倍に
矢野経済研究所によると、2021年度の食品通販市場規模は対前年度比2.9%増の4兆4434億円(図表❶)。このうちネットスーパーの比率は4.8%(図表❷)、額にして約2000億円強とまだまだその比率は小さいものの、11年度と比較するとその規模は約2.9倍となっている。同研究所のフードグループ主任研究員である大篭麻奈氏は、「コロナ禍前の10年代後半は、人手不足により配送枠が限られていたこと、店舗出荷型では配送エリアの拡大が難しかったことなどから潜在ニーズを十分に獲得できず、伸びがやや鈍化していた。しかし、コロナ禍で急激に需要が増えたことで、新規参入企業の増加、大手を中心とする倉庫(センター)出荷によるキャパシティ増大、ラストワンマイルの配送マッチングサービスの発達などにより、市場が拡大した」と現状を分析する。
ネットスーパーの市場は今後も拡大していくと予測する小売関係者は少なくない。実際、コロナ禍ではオーケー(神奈川県/二宮涼太郎社長)やアークス(北海道/横山清社長)など、新規参入企業も増えた。クイックコマースについては、日本では当初、飲食店メニューの即時配達サービスとして普及したが、徐々にその対象は食料品にも拡大。「OniGO(オニゴー)」「AMo(アモ)」「Yahoo!マート byASKUL」など、生鮮食品や日配品、加工食品などをすぐに購入できるサービスが次々と現れている。