アフターコロナ ネットスーパーとクイックコマースが成長、収益化のためにすべきこととは

松尾 友幸 (ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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収益性を高めるために何をすべきか?

 事業を持続可能なものにするためには、店舗作業や配送の効率化を進め、収益性を高める施策が不可欠だ。ネットスーパーはピッキング、パッキング、配送のすべてに注文ごとの経費がかかる変動費主体の事業である。そのため、注文1件でどれだけ購入してもらえれば黒字となるのかを把握し、そのうえで配送料の設定や店舗作業・配送の効率を高められる仕組みづくりに取り組まなければならない。たとえば、すでにネットスーパーの収益性を確保しているスーパーサンシ(三重県/田中勇社長)は、利用に月額料金を設けるなど、利益を担保できる仕組みを確立している。

 配送効率化の面では、バロー(岐阜県/森克幸社長)は地元で配達網を持つ新聞販売店や牛乳販売店と協業。本業の配達の空き時間をネットスーパーの配達に充ててもらうなど、地域資源の有効活用に取り組んでいる。

 本特集では、ネットスーパー・クイックコマースを展開する企業計9社の最新の取り組みを解説しているほか、消費者アンケート調査による利用動向も掲載している。アフターコロナが間近に迫る今、各社の戦略や消費者の声を参考にしながら、自社の商圏や事業環境ではネットスーパーとクイックコマースどちらが適しているのか、どのような仕組みを構築すれば売上や利益を高められるのか、あるいは、そもそも自社がネットスーパーやクイックコマースをやる必要があるのかを今一度考えてみてはどうだろうか。

記事執筆者

松尾 友幸 / ダイヤモンド・チェーンストア 記者

1992年1月、福岡県久留米市生まれ。翻訳会社勤務を経て、2019年4月、株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア入社。流通・小売の専門誌「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部に所属。主に食品スーパーや総合スーパー、ディスカウントストアなど食品小売業の記者・編集者として記事の執筆・編集に携わる。趣味は旅行で、コロナ前は国内外問わずさまざまな場所を訪れている。学生時代はイタリア・トリノに約1年間留学していた。最近は体重の増加が気になっているが、運動する気にはなかなかなれない。

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