生鮮総菜、PC超活用に本物のSPA化!「総菜の独自化」最前線
MDの「根幹」としての生鮮総菜が拡大
昨今、SM業界において一種のトレンドとなっているのが、部門間の壁を超えて総菜を開発・提供する生鮮総菜化の取り組みだ。コロナ前から志向する企業は少なくなかったが、一部の先進企業では“チャレンジ”の段階から一歩進み、商品政策(MD)の“根幹”として取り組みを本格化させている。
たとえばアクシアルリテイリング(新潟県/原和彦社長)傘下の原信とナルス(いずれも同/丸山三行社長)は、鮮魚部門や精肉部門が店内調理する総菜メニューを拡大。さらに商品部門の直下に「新MD推進担当者」を配置し、現在はサラダとチーズを中心に、生鮮各部門をまたいだ原料調達や商品開発に本腰を入れている。
サミット(東京都/服部哲也社長)も生鮮総菜化を強く推進する企業の1つだ。同社は19年から「大総菜プロジェクト」を社内で立ち上げ、生鮮各部門間で連携しながら総菜の商品力向上を図ってきた。その取り組みが開花し、現在では部門ごとの専門性を生かした商品が売場に多く並んでいる。コープさっぽろ(北海道/大見英明理事長)も同様に生鮮総菜のプロジェクトを立ち上げ、生鮮部門が扱う素材を総菜部門が店内調理するメニューを次々に投入。開始1年目で同プロジェクトによる商品の売上高が6億円に達するなど、お客からの支持を集めている。
ただし、生鮮総菜の取り組みは決して簡単なことではない。先進企業の1つである原信・ナルスの担当者をもってしても、「まだまだ部門間の連携には課題がある」という。各部門の専門性を生かした商品づくりを継続的に成立させられる体制、つまり組織の縦割りの中で部門間の壁を打ち壊すことが、取り組みの成否を分けることになる。