最新技術で大進化!広がるロングライフチルド総菜の最新事情とは

解説:増田敏郎(増田食品開発コンサルティング代表)
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時代のニーズに即した商品として徐々に売場を広げている商品の1つに、ロングライフ食品がある。なかでも昨今、消費者、製造者、販売者のいずれにもメリットのある商品としてロングライフチルド総菜が注目されており、コンビニエンスストア(CVS)が牽引するかたちで商品開発が進んでいる。その現状や背景、今後めざすべき方向性を、ロングライフ食品の専門家に聞いた。

ロングライフ化がチルド総菜で進む理由

 ロングライフ食品とは、大きく2つを指す。まず、賞味期間が3年~5年ほどと長く、備蓄等を意識し長期保存を可能にしたものだ。もう1つは、保存可能期間の長さは関係なく、たとえば、消費期限が1~2日ほどだったものを、技術力によって4~5日に延ばすなど、品質やおいしさを長く保てるようにしたものだ。昨今、とくに注目が高まっているロングライフチルド総菜(以下、ロングライフ総菜)は後者である。

食品工場 イメージ
昨今、消費者、製造者、販売者のいずれにもメリットのある商品としてロングライフチルド総菜が注目されており、コンビニエンスストア(CVS)が牽引するかたちで商品開発が進んでいる。(i-stock/agnormark)

 ロングライフ食品のなかでもロングライフ総菜が広がりを見せている背景にはさまざまな要因がある。

 1つは食品ロスの問題だ。総菜やチルド食品は、グロサリーやレトルト商品とは異なり、製造や管理における品質保持や衛生管理のための規格やルールの整備が進んでいない企業が多い。それにより多くの食品廃棄が生じているのだ。

 また、製造現場においては、賞味期限の短さから、販売前の夜中に従業員が集まり、総菜の製造からパック詰めまで、手作業で行っている企業も未だに少なくない。販売の現場においても、商品の賞味期限が短いものは、店舗での品質管理やチェックの手間がかかる。これらの労力は、人手不足が深刻化するなか、維持・継続するのが難しくなりつつある。

 消費者の需要が高まっていることもある。コロナ禍で総菜市場は一時的に縮小したものの、共稼ぎ世帯が増え、食事の準備における時短ニーズが高まるなか総菜を求める人は増えており、市場規模はすでにコロナ前の水準にまで回復している(日本惣菜協会『2023年版惣菜白書』)。そして総菜のなかでも、日持ちがして、いつでもおいしく食べられ、安全・安心な総菜を求める声が確実に増えているのだ。

低温殺菌やガス置換…CVSが技術導入を牽引

 ロングライフ総菜の開発を牽引してきたのは

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