ハルモニアとシノプス、「値引き」システムが食品スーパーの収益性を最適化するか?
ロス率が高い食品スーパー(SM)の総菜部門における自動値引きシステムの開発が進んでいる。値引きは経験が必要とされる作業だが、値引きの判断が徹底されていない店舗も多く、ロスの発生や利益率低下を招いている。こうした課題を解決すべく、近年はIT企業が開発する自動値引きシステムを多くのSMが導入し始めた。本稿では、直近1年で提供が開始された2つの値引きシステムについてレポートする。
スタートアップ企業の値引きシステム
ハルモニア(東京都/松村大貴CEO)は、2015年創業のプライシングに特化したSaaS(Software as a Service/サービスとしてのソフトウエア)やコンサルティングなどを手掛けるスタートアップ企業である。

同社は23年2月、東芝テック(東京都/錦織弘信社長)から出資を受けてSMに向けた値引きシステム「Harmoniaロスフリー(以下、ハルモニアロスフリー)」の販売を開始した。松村C E Oは、その背景について「『見切り品の値引き率が適正でない』『値引き作業に回せる人員がいない』といった理由で、SMの現場での食品ロスが慢性化している。そうした食品廃棄がSMの利益を圧迫していることに加え、温室効果ガス発生など環境へ影響を及ぼすことも問題視していた」と話す。
Harmoniaロスフリーは、総菜を中心とした商品に対し、POSデータをもとに値引きを最適化し、ロス率を抑える月額制のクラウドサービスだ。閉店までの残り時間と客数の予想値、残り在庫数、商品ごとの来店客1000人当たりの買い上げ率(PI値)から、何%値引きするとロス率を最小化できるかを算出し、「何時に何%値引きすればよいか」という指示をシステムが店舗スタッフへ発信する。さらに値引きロス、廃棄ロス、粗利益率などのKPI(重要業績評価指標)を算出し、製造数最適化への示唆も提供。導入後もデータを積み重ね、再計算を繰り返していくことで精度を高める仕組みだ。

「導入のしやすさ」を主眼に開発
ハルモニアが同システム開発において重きを置いたのは
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