PBはライフスタイル商品になる?イオンやライフが示す2020年代の進化

宮川耕平(日本食糧新聞社)
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価格軸からライフスタイル軸へ

 2010年代は生鮮3品のPB化も進みました。魚や肉の加工品をはじめ、独自調達のブランド肉や、カット野菜・サラダ、バナナなどの輸入果実にPB名が冠せられるようになると、実質的にもNB代替の範疇に収まらなくなります。オリジナルブランドとしての意味合いが強くなると、その表現方法が「価格軸だけでいいのか? 」という問題も出てきます。チェーンのオリジナルであるPBは、顧客のニーズに幅広く対応するものなのに、いわゆる松竹梅の枠組みだけでその価値を消費者に伝えられるのか?という疑問です。

 3層構造ならではの課題もあります。低価格とプレミアムの間にある中間層が、ブランド価値的に曖昧になりがちなことです。とくにプレミアムがあることで、スタンダードの価値が一段落ちてしまう…。これが理由で、NBを席巻したプレミアムブームもピークアウトしていきました。

 消費者ニーズを価格とは異なる価値軸で追い求めるとき、登場してくるのがライフスタイル軸です。ここでは各自の消費スタイルを決める考え方を指すと思ってください。このライフスタイル軸で選別する商品は、「ある人は価値を認めても、別の人には無価値な商品」になります。消費者のライフスタイルは多様ですから、価値軸の種類も増えます。

 例えばオーガニックです。高くてもオーガニック野菜を選ぶのか、そこに価値を見出さないかは人それぞれです。添加物を使用する・しないもそうですし、糖質や塩分がどうこう、フェアトレードや環境保全を気にするかどうか、素材から作るのかミールキットを利用するのか、などです。これらを選ぶか否かは価格だけの問題ではありません。

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