苦境に立つ欧州百貨店 手を差し伸べるタイのセントラルとは

文:リテイルライター:太田美和子
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 「解放:わが社の目的はオーナーを変え、支配から脱することだ」──。1月9日、ドイツの百貨店大手のガレリア・カールシュタット・カウフホーフ(GaleriaKarstadt Kaufhof:以下、ガレリア)が破産申請したことを発表したニュースリリースにはこう綴られていた。

 ガレリアの破産申請は2020年以降のわずか4年ほどで、これで3度目になる。1度目の20年のときは新型コロナのパンデミックが原因、2度目の22年はインフレとエネルギー価格の高騰が原因とされた。2度目の申請の後には、全店舗の40%の店舗を閉鎖することを発表している。しかし、3度目の今回はこれまでとは事情が少し異なる。財務状況が厳しいことは当然だが、それ以外に親会社であるオーストリアの不動産開発大手のシグナ(Signa)から経営を切り離し、他社に同社を買い取ってもらうことがガレリアのねらいだ。それを表現したのが、冒頭の言葉である。

セルフリッジ外観
欧州の百貨店は今、ビジネスモデルの抜本的な改革が求められている

 シグナは不動産開発のほか、欧州を中心に百貨店やショッピングモールなどを多数所有する。そのシグナが資金難に陥り、23年11月29日に破産手続きを申請した。負債額は50億ユーロ(約8000億円)に上った。ガレリアはシグナから2億ユーロ(約320億円)の資金提供を受けることになっていたが、当然それは反故とされ、ガレリアも資金繰りに窮することになった。これまでシグナから高額の賃料などの負担を求められていたガレリアは、このままでは成長が望めないと別離の手段を模索する。

 すでに次のオーナー候補は

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