欧州で 再び 小商圏小型店の開発が進む理由とは

リテイルライター:太田美和子
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 〝プロキシミティストア〟が再び欧州の食品小売業界で注目されている。プロキシミティとは「互いに近い・近接」という意味で、食品小売業界では小商圏・高頻度来店の店舗を指す。小商圏内の消費者にこれまで以上に近づくことで成長をめざそうとする戦略的な意味で用いられている。

 たとえば、フランスのカルフール(Carrefour)はハイパーマーケットを得意とする企業だが、「カルフール・コンタクト(Carrefour Contact)」「カルフール・エクスプレス(Carrefour Express)」「カルフール・シティ(Carrefour City)」「カルフール・モンターニュ(Carrefour Montagne)」「ウィタ・ウィット(8aHuit)」「プロキシィ(Proxi)」と、立地や店舗規模で異なる6つのプロキシミティ・フォーマットを開発。計4400に及ぶ店舗を持つ。なお、その大半はフランチャイジー店である。

 そのカルフールが23年3月に新たなプロキシミティ・フォーマット「ポタジェ・シティ(Potager City)」をパリ市内に2店舗オープンした。売場の半分を青果売場に割き、新鮮な野菜や果物を都市生活者に提供することをコンセプトにした店舗だ。

 プロキシミティストア強化の動きは、とくに22年以降に顕著である。その理由はいくつか挙げられており、大きな理由の1つがコロナ禍と、その後のガソリン価格の高騰の影響で購買行動が変化したことだ。郊外の大型店ではなく、近隣の店舗で素早く買物を済ませる人が増えた。その後、郊外の大型店舗の来店客数は回復傾向にあるが、小商圏で来店頻度が高い小型店舗の重要性が高まっていることは確かだ。

地域特性に対応し、各社各様の店舗開発

 カルフール以外にも、

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