意外、主たるお客は中高年!?位置情報が示す、ロピアとコストコの利用実態!
首都圏から関西にも商勢圏を広げ、業界で今、最も勢いのある食品スーパー(SM)とも言われる「ロピア」。そんな同チェーンについて話す際、よく引き合いに出されるチェーンの1つが会員制倉庫型店「コストコ」である。異なる業態ながら「まとめ買い」「低価格」「ユニークなオリジナル商品」など共通の特徴を持つ2つのチェーンは実際にはどのように利用されているのか。スマートフォン位置情報を活用した調査で明らかにしたい。
異なる業態ながら複数の共通項あり
unerry(ウネリー:東京都/内山英俊社長)が開発・運営する「Beacon Bank(ビーコンバンク)」は、GPSと全国約210万カ所のBeaconネットワークを介して月間300億件以上の屋内外のスマートフォン位置情報ビッグデータを蓄積する、日本最大級のリアル行動データプラットフォームだ。AI解析による行動変化の可視化など、消費者の行動を多面的に分析している。
本調査では、ロピア(神奈川県/髙木勇輔社長)と、コストコホールセールジャパン(神奈川県/ケン・テリオ日本支社長)にクローズアップした。
ロピアは、精肉店を祖業とする強みを生かした精肉と、そこで得た利益を原資とする圧倒的低価格を訴求するスタイルが特徴のディスカウント型SMだ。最近では、グループの食品メーカーや輸入会社などの機能を生かした大容量のオリジナル商品、総菜や青果、鮮魚などにも力を入れて魅力を高めている。その出店攻勢はすさまじく、2020年9月には関西に、22年5月には中部地域にも商勢圏を拡大し、現在店舗数は70店近くまで広がっている。
一方のコストコホールセールジャパンは、1999年に日本に上陸して以降、着実に店舗数を増やし、その数は全国30カ所超に増えた。装飾のない倉庫型の店舗や、パレット陳列など徹底したコスト削減により実現する低価格や、プライベートブランド「Kirkland Signature(カークランドシグネチャー)」商品、シーゾナル商品からジュエリー、大型家電まで揃えて宝探しのような感覚で楽しめる買物体験などが、消費者の心をつかんでいる。
この2チェーンは業態こそ異なるのだが、ともに業績好調の注目チェーンであること、また「まとめ買い」「低価格」「ユニークなオリジナル商品」など複数の共通項を持つことから、業界関係者の間では同じ話題で例に挙がることが多い。実際に両チェーンはどのように利用され、共通点はあるのか。unerryの持つデータによってその実態に迫った。
意外にも50代以上の利用者が4割超を占める
今回調査対象とした店舗は、北総鉄道北総線・京成成田空港線「印西牧の原」駅の南側すぐの場所にあるショッピングセンター(SC)「ビッグホップガーデンモール印西」内に入る「ロピア印西BIGHOP店」(千葉県印西市:2018年4月開業)と、同店から西へ約3.5kmにある「コストコ千葉ニュータウン倉庫店」(同:13年7月開業)だ。ロピアから半径約5km圏内には「マルエツ フォレストモール印西牧の原店」や「ベイシア千葉ニュータウン店」、SC「イオンモール千葉ニュータウン」に併設する「イオン千葉ニュータウン店」、タイヨー(茨城県)の「ビッグハウス印西店」など有力店が乱立する流通激戦区だ。
この2店の調査結果を見ると、まず、利用者層や商圏については、利用者の性別と世代の構成比において非常に似た傾向が見られた。性別は女性が8割以上を占め、利用者の世代別構成比は、高い順に60代以上(ロピア、コストコの順に24.9%、24.4%)、30代(22.8%、20.5%)、50代(19.3%、16.8%)で続く(図表❶)。比較的若い世代から支持が高いと言われる2チェーンの今回の2店ではあるが、人口分布に即して60代の利用が最も多い。次に30代が続き、ニュータウンの若いファミリー層の利用も多く見られるものの、50代以上が4割以上を占めるという点は少し意外である。
続いて商圏に目を向けると、こちらも全体的に似た傾向が見られた(図表❷)。最も割合が高いのが20km以内(ロピア、コストコの順に43%、55%)で、次に20km圏外(24%、23%)、10km以内(ともに14%)が続く。10㎞を超える商圏からの割合を合わせると、コストコが78%、ロピアが67%と、ともに広域からの集客に成功していることがわかる。
来訪者をさらに詳しく見ると、コストコの場合は、人口の多い船橋市や柏市からのほうが、足元の印西市内からよりも多くの人が訪れている。一方のロピアについては最も多いのは印西市内からの来訪者ではあるものの、SM業態としては驚異的に商圏が広いと言えるだろう。
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