食品スーパー「万代」が取り組む「水平リサイクル」、お客の意欲引き出す売場の工夫とは 

植芝 千景 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集者)
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関西圏で食品スーパー(SM)を164店舗(23年6月時点)展開する万代(大阪府/阿部秀行社長)は、サントリー食品インターナショナル(東京都:以下、サントリー)と協同し、6月9日から、使用済みペットボトルを回収して再びペットボトルとして再生する「水平リサイクル」の取り組みを開始した。今後、万代のほぼ全店に導入していく考えだ。

万代のボトルtoボトルコーナー展開

水平リサイクルの「ボトル  to ボトル」を採用

 地域貢献活動や環境保全活動に取り組み、その一環としてペットボトル回収を行ってきた万代。6月9日にサントリーが推進する、使用済ペットボトルを回収し、再びペットボトルとして再生する、水平リサイクルの「ボトル to ボトル」に参画した。万代の店頭に設置するボックスにて回収したペットボトルを事業者に引き渡し、サントリーのペットボトル製品として再生する。

 ペットボトルは元々「リサイクルの優等生」とされ、PETボトルリサイクル推進協議会によると、その回収率は94%、リサイクル比率は86%とされている。しかし、そのうちの多くは繊維やトレーなどにリサイクルされたのちに焼却処分され、資源循環が途絶えている。

 一方、この「水平リサイクル」であれば、何度もペットボトルにリサイクルできる「資源循環」が実現する。また、新たに化石由来原料を使うことなく、ペットボトルを製造することができるのもメリットだ。さらに、一からペットボトルを製造するのと比較し、約60%のCO2を削減できる。

万代のほぼ全店で採用し、700tの回収を見込む

 回収されたペットボトルは、サントリー製品の「GREEN DA・KA・RA 優しい麦茶680ml」や「天然水」のペットボトルとして生まれ変わる。

 今後、店舗内でこれらの製品をコーナー化し、さらにPOPやポスターによって「分別したペットボトルから作られた製品」であることを訴求する。こうした取り組みによってお客自身が分別したペットボトルがどのように生まれ変わったのかが把握しやすくすることで、さらなるペットボトルの回収に繋げる。

万代ボトルtoボトルPOP

 万代取締役広報IR・法務・管財・秘書の頓宮博氏は、「従来のリサイクル方法ではペットボトルがどのようなかたちで再生されているのかがお客様が把握しづらいのではないかと感じていたが、ボトルtoボトルの場合、お客様に資源循環を実感していただきやすい」と話す。

 万代では、自治体によるペットボトル回収が月に一度しかない地域に位置する豊中豊南店(大阪府豊中市)、香芝二上店(奈良県香芝市)、法隆寺店(奈良県生駒郡)、田原本店(奈良県磯城郡)、河合町店(奈良県北葛城郡)、坊城店(奈良県橿原市)の6店から導入を開始する。10月末までには万代の164店舗のうち、リサイクルボックスが設置可能な155店舖で展開し、700tのペットボトル回収を見込む。

記事執筆者

植芝 千景 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集者

同志社大学大学院文学研究科(国文学専攻)修了。関西のグルメ雑誌の編集部に所属後、ダイヤモンド・リテイルメディアに入社。日本酒、特に関西の地酒好き。趣味は、未知のものを食べること。「口に入れてから考える」ことをモットーに、日々さまざまな食べものを味わっている。

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