値上げには賃上げ必要、悪い物価高は業績に悪影響=サントリーHD社長

ロイター
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サントリーホールディングスの新浪剛史社長
サントリーホールディングスの新浪剛史社長は15日、ロイターとのインタビューで、成長企業を中心に賃上げの動きが出なければ、小売店で販売される同社製品などは値上げに動けないと語った。資料写真、2016年1月、ダボス会議(2021年 ロイター/Ruben Sprich)

[東京 15日 ロイター] – サントリーホールディングスの新浪剛史社長は15日、ロイターとのインタビューで、成長企業を中心に賃上げの動きが出なければ、小売店で販売される同社製品などは値上げに動けないと語った。また、円安を含めて悪い物価高が進んでおり、値上げが容易でない環境下では、業績に悪影響を及ぼすとの懸念を示した。

早めの3回目接種で本格的な繰越需要へ

9月末で東京都などの緊急事態宣言が解除され、サントリービールのビール、発泡酒、第3のビールを合わせたビール類の販売数量は10月に前年比14%増、11月は同13%増と増加した。新浪社長は「売上高は70―80%戻ってきている。ペントアップディマンド(繰越需要)は出ると思っていたので、想定通り。12月もすごく良い」と述べた。2次会を長々とやることは少なくなったものの、少し高級な飲食へのニーズが強いという。

新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」が世界各地で広がる中、コロナワクチンの3回目接種を早めに進めることで、春の花見、5月の連休には本格的なペントアップディマンドが期待できるとの見通しを示した。

1ドル115円大幅超の円安「頭が痛い」

ペントアップディマンドが出てくることで、外食を含むサービス業では人手不足になり、人件費も上昇することが予想され、その他のコスト増も含めて「少しずつ値上げしていくと思う」という。一方で、同社の主力商品である「プレミアムモルツ」など小売りで販売される商品については「なかなか値上げできない」と話す。

今年については「非常に良い決算ができると思う」とするものの、サプライチェーンコスト増や悪い物価高は「我々には相当影響すると思っている」との懸念を示した。下がることが見通せない原油価格に加え、足元で一服感が出ている円安についても「1ドル115円を大幅に超えてくるようなことになると、大変頭が痛い」とした。

値上げが先か、賃上げが先かーー。新浪社長は「賃上げが先」と答え「ペントアップディマンドが出てきたこのタイミングは絶好のチャンス」と指摘する。環境が整うことはなかなか難しいとしながらも、サービス産業以外にも成長産業が中心となって賃上げの動きが明確になり「一番需要がある夏に価格転嫁できたらいいな、と思う」と期待を込めて語った。

同社の賃上げについては「去年に比べて業績も良いため、上げてきたい」とした。

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