アパレル業界が低賃金の理由と「年収大幅アップ=人員大幅削減」を防ぐ方法
百貨店向け人員を新戦略に振り向けたオンワードの成功例
オンワードホールディングスは、百貨店全盛時に百貨店営業マンを山のように雇用したが、百貨店が勢力を失い、直営店やECに取って代わるとき、年齢が高い社員を「カシヤマ・ザ・スマートテーラー」という、ビスポークスーツの販売店に配置した。年齢の高い社員なら、採寸ミスもないし服に対する知識も豊富だ。また、お客は圧倒的に男性が多いため、若い女性が接客する必要もない。むしろ、彼らの豊富なスーツの知識に顧客は感心するだろう。こうして、カシヤマのスマートテーラーは従来の紳士服専門店の顧客を奪いまくり、スーツ市場が沈んでいる中で高い成長を遂げている。素晴らしい戦略だ。
しかし、こうした取り組みもやがては競争過多となり生産性向上をつきつけられるだろう。また、デジタル人材は新卒で1000万円ぐらい払わないと国際的に競争力のある人材を集められない。これまでのように「私はファッションが大好きです」ではもはや乗り越えられないのだ。こうして、将来のアパレル企業は小粒な企業の統廃合が進み、投資採算性を正しく評価する仕組みができて小粒なブランドは売るか買うかされ大所帯になる。みなが、役員や社長になれるわけではないので、ファーストリテイリング並とはいわないまでも、生産性はその程度を目指してより少ない人員コストで今の売上、あるいは、もっと高い売上に耐えられる売場や本部を作る必要があるだろう。
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プロフィール
株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。
著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「
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