衝撃!SPA業態そのものには優位性がない、本質的な理由とは
SPAの本質は工場を持つことではなく
「製造機能」を持つこと
2000年、私は経営コンサルタントになり、アパレルの専門家という建付けで、たくさんの提案書やプロジェクトにアサインされた。
コンサルティング会社には、「流通・小売」業セクターというラインがあり、私はそこに配属されたのだが、驚かされることがあった。
比較的多くの小売業者が「生産機能を持ちたい」という意向を持っていたからである。私の現場感覚でいえば、百貨店などの「小売」に商品を卸していた製造業業態が、自社店舗を持ちたい、という感覚が世の中の流れだったからで、小売が生産機能を持つことはまだ一般的ではなかったからである。
「コンサルティング会社の中には、5年後の情報があちこちに詰まっている」と認識したのはこのときだ。
製造業が小売を「機能」として持つ。小売業が生産を「機能」としてもつ。こうして製販が統合させるのがSPAビジネスモデルの本質なのである。
しかしここで注意したいのは、「機能」として持つことと「物理的に持つ」のは考え方が大いに異なる点だ。例えば、小売機能でいえば、物理的設備は自社ビルなど、「不動産」を持つことであるが、実際は、デベロッパーの中に出店し、家賃を支払って直営(ダイレクトに運営)する。生産も同じで、「機能」として持っているが、「物理的設備」は商社がもっていたり、独立した縫製工場と事業提携をしたり、現実に「物理的設備」を内在化しているわけではない。
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