低成長のサステナブル経済へ移行 商社と合繊メーカーが生き残るたった2つの戦略とは

河合 拓
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乱立するリユースだが課題も山積

zozoは以前からリユース事業を手掛けている
zozoは以前からリユース事業を手掛けている

 私が提唱するリユースは、業界に広がりつつある。しかし、それらは購買意欲をかきたてるものではない。リユースの最大手、セカンドストリート(https://www.2ndstreet.jp/store)をみれば、再プレスもなされず、シワシワのまま掲載されている。また、これらの服の着用イメージを想起させるマネキンもいないのは、後述するアパレルも一緒である。おそらく、アパレル商品の大量処分の権化といえる催事との差別化を図るためと思われるが、上代価格もアウトレットやセール品とそれほど変わらないし、そんなことをやっていては、いつまで経っても二次流通市場は成長しないだろうと思う。もっと、自分が手がけたブランドを大事にしてもらいたい。

 例えば、ZOZOTOWNは、ZOZOUSED (https://zozo.jp/zozoused/)をリユース事業としてスタートしており、さすがファッションECのパイオニアらしく、取り扱う商品もそれなりのもので価格も妥当だ。中には着用イメージが沸く写真を掲載しているものもあるが、やはり、着古したものをそのまま吊しているものも多く、「USED」のネガティブイメージを拭えない。

 オンワード樫山は、オンワードクローゼットの中に、リユースパーク (https://crosset.onward.co.jp/shop/reusepark)をもち、二次流通品の再販をはじめている折角、綺麗にクリーニングと再プレスをしているのだから、着用イメージを提案してはどうかと思う。同社は、服の程度をランク付けしているが、そもそも、ほつれが酷いような商品は買い取らない、あれいは、リサイクル代や修理代を買取価格から減額し消費者負担にすることも将来的には検討してはいかがだろうか

 SDGsの「作る責任、使う責任」を念頭において、物づくりをすべきだ。これからの時代、過度なデコラティブ(装飾性の高い)なものや奇をてらったものは必要以上に作らないなど工夫が必要だろう。また、消費者は、きちんとメンテナンスをして次の人が着れるような着方をする。売り手と買い手、双方が意識を変えなければ二次流通市場は発展しない。今の「USED」は、私がイメージしているものとは、まだまだ離れているように見える。そこには、やはり、「所詮はUSEDだろう」という過去からの既成概念が無かろうか。

 さらにこうした動きは、大量生産の権化であるユニクロこそ、先んじてやり、「このようにすべきだ」と見本を見せるべきだと私は思うのだが、同社のECサイトを見る限り、「大量購入サービス」や「まとめ買い」など、おおよそ時代の流れと逆行しているサービスを展開しているように見えるのが残念だ。ただし、ユニクロTOKYOのような、トレーサビリティや将来的なパーソナルオーダーに備えるであろう試みもスタートしており、今後の同社の動きに注目したい。

 私は、総じて二次流通提唱者として、USEDという言葉をネガティブなイメージで使うのをあらためてはいかがかと思うし、いかにすれば、中古品を自然に販売して、自然に買ってもらえるかを考えてみてはどうかと思う。クルマだって、リセールを想定して色や装備を検討して新車購入をするではないか自分の企業がつけるブランドの冠をつけている商品は、品質は新品と同じように保証するぐらいの覚悟で新商品を作り、二次流通品をもっと大事に売ってもらいたい。

 

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