アパレル不振の根源「作りすぎ」、作らなければ利益激減 この二律背反を解決する方法

2021/01/12 05:55
河合 拓

 1月8日、緊急事態宣言が発令された。しかし、私の想定通り、なんの強制力も無い「お願い」ベースであることを知った国民は、毎日新聞の報道によれば、新橋の会社員たちは相変わらず満員電車で出社し、東京都の感染者数は7日以降3日間連続で2000人を超えた。このままでは一日の感染者数が東京だけで5000人を超えるのも時間の問題かもしれない。新型コロナウイルスで失業者が増え、企業業績が悪化しているからこそ、国民は経済活動を優先させるという負のサイクルに入っている。

wikoski/ istock
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アパレル不振の根本原因は「作りすぎ」

 さて、今回はアパレル業界の「作りすぎ」の問題についてである。

 私は50社のアパレル企業再建実績から、6年前にデータを収集し「余剰在庫」が原価高を押し上げ、無理な計画が縮小する市場の中で余剰在庫を生み出すというメカニズムを解明し、「アパレルを殺した真犯人は在庫である」と叫び続けてきた。当時、誰も考えてもいなかった「受注生産」をアパレル業界も採用すべきだと、日経新聞紙上に書いた。

 しかし、当時勤めていた会社では「在庫がなければモノが売れないだろう」と相手にされず、発言を控えるように指示された。しかし、その後、私は、某公共放送のテレビ番組に呼ばれ、バーバリーの余剰在庫破棄問題についてコメンテーターとして出演した。そのテレビ番組の趣旨は、作りすぎによるライトオフ(在庫評価損失計上)による損失赤字とキャッシュフロー問題でなく、環境破壊の方に論点を置いていた。その際、幾度も「AIを使っても余剰在庫の問題は解決しない」といったのだが、相手にされなかった。

 その後、コンサルやアナリスト達は、当時の状況が嘘のように、皆が「『余剰在庫』は反サステイナブル」、「アパレル企業の損失拡大だ」と叫ぶようになった。私は、繰り返される的外れの議論から、産業復興のための真の論点に議論が移ったことに嬉しさを覚えた。

 しかし、余剰在庫を課題論点としてあげている人は、もう少し論理的に考えられないのだろうかと思うときがある。特に、アパレル業界の余剰在庫や破棄問題とサステイナブル社会を関係づけている人達に言いたいのは、この問題は構造的なものであり、「作りすぎを止めよ」といっても、冒頭に書いた緊急事態宣言のようなもので、空に向かって空砲を撃っているようなものなのだ。

 

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