日本惣菜協会清水誠三専務理事激白 「ウィズコロナの総菜」のキーワードはボーダレスと高レベル
コロナ禍で一転苦境の総菜部門
「ボーダレス・高レベルな戦いに発展する」世帯
世帯人数の減少や有職女性の増加といった社会変化に後押しされ、拡大を続けてきた総菜市場。しかし、コロナ禍で人々の在宅時間が増えた結果、「内食回帰」の動きも見られるほか、飲食店がテイクアウトやデリバリーサービスに参入したことで、総菜の需要が相対的に低下している。食品スーパー(SM)の総菜部門は、今後どのような成長戦略をとるべきなのか。日本惣菜協会の清水誠三専務理事に聞いた。
総菜売上高が各業態で軒並み低調に
──利便性や即食性が支持され、これまで総菜の市場は拡大を続けてきました。今回の新型コロナウイルスの感染拡大は、総菜市場にどのような影響を与えましたか。
清水 新型コロナウイルスの影響で、総菜は全体的に苦戦を強いられているのが実情です。
日本惣菜協会では食品スーパー(SM)・総合スーパー(GMS)・コンビニエンスストア(CVS)・総菜専門店・百貨店などを合わせた約6万7000店舗における総菜の販売動向を調査し、毎年「惣菜白書」を発刊しています。3月から5月の業績に目を向けると、SMは全体の業績は好調な半面、総菜部門の売上高は対前年同期比3%減と落ち込んでいます。GMSは同10%減とさらに苦戦しました。
また、中食市場を牽引するCVSは、テレワークの影響などでオフィスワーカーが急減した都心部立地の店がとくに苦戦し、総菜売上高は同約20%減と深刻です。さらに、観光地のCVSでは週末に同40%減と大きく低落したところもあります。そのほか、百貨店や総菜専門店も軒並み低調です。6月には全般的にやや回復傾向に転じたとの報告も受けていますが、コロナ前の実績には程遠い状況です。
──店舗が所在する地域、あるいはカテゴリーによって販売動向に差は見られますか。
清水 感染拡大が深刻となり始めた今年4月に、会員企業の状況を把握するための緊急アンケートを実施しました。その結果、72.6%の会員が「売上が減少した」と回答しています。エリアによって感染状況も違いましたので地域差も多少はありましたが、70%超という数字からすると、全国的に厳しい状況に瀕していたと言えるでしょう。
また、カテゴリー別では1つ注目すべき事象がありました。全般的に売上が落ちるなかで唯一、「袋物惣菜」が120%ほどの伸長を見せたのです。袋物惣菜はパウチ入りのレンジアップの総菜など、比較的日持ちする商品が含まれます。簡単に調理できて、かつ保存がきくという点で重宝されたのだと思います。
コロナ禍で総菜の「強み」が薄れた
──コロナ禍によってここまでの影響を受けた理由は何でしょうか。
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