続々登場、コロナが追い風 「レジレス店舗」がもはや新領域ではない理由

流通ジャーナリスト 森田俊一(流通ジャーナリスト)
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新型コロナも追い風に日本でも急増中「買物革新」がついに本格化のフェーズへ

JR線「高輪ゲートウェイ」駅改札内に開業したレジレス店舗「TOUCH TO GO」。専用アプリをダウンロードする必要なく、交通系ICカードで決済できるという敷居の低さで利便性を高めた

新しい生活様式が定着するなかでは、店舗従業員とお客との接触機会を低減・回避するため、キャッシュレス決済やレジレス店舗が加速度的に広がっていく可能性が指摘されている。小売・外食業界でも従来の「キャッシュレス決済サービスの導入」からさらに一歩踏み出した新たな実験を始めたチェーンもある。今後の日本でもこうしたキャッシュレス化・レジレス化の流れは本当に加速していくのか、あるいはそれを阻む障壁があるのか、考察したい。

新型コロナ拡大でキャッシュレス比率が上昇

 全国スーパーマーケット協会(東京都/横山清会長)は今年6月、「キャッシュレス決済に関する実態調査」の結果を発表した。それによると全国の食品スーパー(SM)で政府の「キャッシュレス・ポイント還元事業」の対象となった企業のキャッシュレス決済比率は、事業開始前の15.5%から36.7%へと大きく上昇した。さらに、キャッシュレス・ポイント還元事業の対象とならなかった企業でも、22.3%から33.3%へと10ポイント以上高まっている。

 政府が実施したキャッシュレス・ポイント還元事業は、主に中小規模の小売店舗での買物を対象に、クレジットカードや電子マネー、バーコード決済などを利用した場合、購入金額の2~5%のポイントを還元するというもの。昨年10月の消費税増税と同じタイミングで始まり、当初の予定どおり今年6月30日に終了している。大手小売業など対象とならなかった企業からは不満が噴出するなど、事業そのものには賛否両論あったものの、キャッシュレス決済と距離を置いていた層を取り込み、キャッシュレス化を促したことは事実だろう。

 しかし、“起爆剤”となったのは還元事業だけではない。新型コロナウイルスの感染拡大という未曾有の状況もキャッシュレス化を大きく後押しした。前出の全国スーパーマーケット協会の調査によると、新型コロナウイルスの感染拡大が日本国内でも報じられるようになった2月から、外出自粛が解除された6月までの期間でとくに大きな伸びを示しているという。コロナ禍で多くの消費者が他人との接触を忌避するようになったことで、キャッシュレス化の流れが急速に早まったことが考えられる。

 利便性の面で見ても、感染防止の面で見ても、コロナ禍で「キャッシュレス決済」という買物行動を習慣化させた消費者が、再び“現金派”に戻ることはほとんどないだろう。政府のさらなるテコ入れ策を待たずして、キャッシュレス化の流れは今後さらに浸透、拡大していくとみる向きは多い。さらに、

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