禁断、ユニクロが百貨店で売られる!アパレル業界で起こる、アフターコロナ5つの大変化!

河合 拓
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前回、コロナショックを前向きに捉えると、数十年動かなかったアパレル業界を変革するトリガーになることをその理由を含めて説明した。今回は、アフターコロナのアパレルビジネスの世界で起こる、5つの大変化について予測したい。

Explora_2005 / iStock
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禁断!ユニクロが百貨店で売られる日

 今後アパレルが経営破綻に陥っても、もはや救済する金融期間や商社はいない。私自身、M&A(合併・買収)を生業とする世界に身を投じているが、「アパレル事業にだけは絶対に投資しない」という声が大多数だ。もちろんごく少数だが「しっかり“ブランドが立っている”アパレルだけは、安く買える今だから例外」という声もある。いずれにせよ、「繊維商社だけは不要」というのが共通見解である。

  このように、「me too 戦略」(わたしもという意味のモノマネ戦略)を繰り返したきた大多数のアパレル企業、「コバンザメ」と「南下政策」を行ってきた商社のアフターコロナには悲観的な見方しかできない。

  さらに、百貨店は大幅な規模の縮小を余儀なくされるだろう。今回、インバウンド消費の消滅により百貨店の売上は都心部で3-40%も下落している。私が2012年に拙著「ブランドで競争する技術」(ダイヤモンド社)で指摘した「オーバーストア」に対してなんら手を打ってこず、また、デジタル化については、「百貨店は街の文化であり物販配送の場ではないため、物流型オムニチャンネルは無駄」、「デジタル技術は配送サービスでなく、実来店されたお客さまのサービス向上に使え」という私の提言の多くは一部の企業を除いて理解されていないままだ。

  ECビジネスでは世界最低価格と世界一の品揃えが必要だ。定価販売を基本とし、品揃えも専門店に負ける百貨店が、通常のオムニチャネル戦略を行ったとしてもなんら業績改善に寄与しない。百貨店が提供する価値は、安心、安全、そして、実店舗に来店した時のラグジュアリーな雰囲気である。Amazon、楽天の真似をしても無駄なのだ。

  アフターコロナの世界では、百貨店は一部の駅近の大都市型店舗だけが残る。また、不動産価値のあるところはデベロッパー化して生き残れるだろう。それ以外の生き残りの手段としては、禁じ手とも言えるユニクロが入居することになる。力のある百貨店は、小型店舗を出店しセレクトショップの市場を一部奪うところもでてくるかもしれない。だが、複数の企業が経営統合し無意味な多角化をしてきたという歴史を持つ百貨店は政治的内乱が多い。それゆえ、こうしたソリッドな戦略は完遂できないかもしれない。いずれにおいても、今の百貨店の形は、駅近意外は姿が変わらざるを得ない状況だ。

 

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