良品計画 松﨑曉社長が語る 無印良品が食品を強化する理由~2030年頃までに売上構成比30%へ 

ダイヤモンド・チェーンストア編集部
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欧州では衣料品を拡大

──20年2月期第3四半期累計で、売上高や客数は増加していますが、利益面では減益となっています。

松﨑 第3四半期は消費増税がありました。当社は税込価格表記の維持や幅広い秋冬商品の価格見直しを計画に盛り込んでいました。しかし前述したように9月の駆け込み需要があり、その反動減を抑えるために10月に販促施策の頻度を増やしたことで、とくに第3四半期は粗利率の低下を招いてしまいました。それが大きな原因です(編集部注:同社の20年2月期第3四半期累計の売上総利益率は50.1%で対前年同期比1.3ポイント減)。

 しかし、そもそも無印良品の値下げは売上を伸ばすためのものではなく、日常的に使用する商品をお客さまにお試しで使っていただきたいという目的から実施しているものです。増税直後は反動減抑制のための施策として活用しましたが、今後は値下げを本来の目的のみに活用し、その頻度を抑制して粗利率の改善を図りたいと考えています。

 また、現在は食品の売上が好調ですが、売上高構成比ではまだ1ケタ台です。この比率をさらに拡大させていくとともに、より粗利を確保できる衣料品や生活雑貨などの売上増もめざしたいです。今期は暖冬の影響により衣料品は計画より下回っていますが、既存店売上高はクリアしています。オーガニックコットンを使用した下着やTシャツなど、無印良品のコンセプトを体現した商品が好調でした。雑貨では新商品の「撥水サコッシュ」(990円:以下、税込)が大きな支持を獲得しました。

──好調な商品のトレンドは海外の店舗でもあまり変わらないのでしょうか。

松﨑 海外事業では日本以上に衣料品の売上が伸長しています。これまで欧州では、無印良品といえば文房具やアクリル製品、家具などのイメージが強く、実は衣料品の構成比率は低かったのです。しかし、今期は靴下などの基本商材を中心に衣料品の商品数を拡大したことが奏功し、欧州既存店の売上増加に貢献しています。

無印良品の衣料品売場
無印良品では、食品だけでなく衣料品も好調だ。とくに欧州での売上が伸長している(写真は国内店舗)

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