PBはサイトの消費者の声でリニューアル=ヨークベニマル 大高善興 社長

聞き手:千田 直哉 (編集局 局長)
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PBは今が正念場

──最近では、多くのチェーンストアがPBを発売し、消費者もPBに一種の飽きを感じている部分もあるようです。

大高 確かに、PBに新鮮みを感じなくなっているようです。今は、NBメーカーも「PBは恐れるに足らず」と考えているところも多いのではないでしょうか。そういう意味では、今はPBにとって過渡期に位置づけられるし、正念場とも言えます。

 「SMはPBがすべて」のように考えているチェーンもあるようですが、私は決してそうは思いません。店全体で見たら、PBの構成比はせいぜい2割 程度です。お客さまのSMの来店動機は生鮮食品にあって、生鮮と顧客満足を実現するサービスや商品の源泉である人材が競合との差別化のカギです。PBだけ を売って、世界を制するということはありません。

 だから、当社では生鮮の品質や顧客満足の担い手である人材育成をいちだんと強化しています。来店していただいたお客さまに感謝の気持ちを持つこ と、陳列などの技術、そして発注から販売計画までの立案やデータ分析などができるマネジメント力、この3つを中・長期的に強化していく方針です。こうした 基本の徹底が重要です。人材育成の総和が企業の価値だと考えています。

──下期に入って、SMはどこも厳しい状況が続いていますが、御社の足元の状況はいかがですか?

大高 厳しいですね。とくに、東北ではここにきて1世帯当たりの収入が減っています。7月は賞与が下がって、収入が前年の17%も減りました。さらに、貯蓄は増 えているので可処分所得が約20%減っています。1品単価は96.7%とあまり落ちてはいませんし、買上点数もそれほど落ちていません。しかし、9~10 月になって客数が減りました。お客さまの買物のしかたが変わって、何を買うにもしっかりと見極めて節約しているように見えます。年末も厳しい状況になると 予想しています。

 しかし、こういうときこそ経営者は明るくしなければいけません。社員が未来に夢を持って志を強くして、こんな売場をつくろう、こんな店にしたいと 挑戦できる企業風土と仕組みをつくっていくことが大事です。社員には、現場にはまだ問題が山積して、やるべきことはたくさんあるのだから、地道に愚直に やっていこうと話しています。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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