PBはサイトの消費者の声でリニューアル=ヨークベニマル 大高善興 社長

聞き手:千田 直哉 (編集局 局長)
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グローバルPB第1弾を発売

──大高社長が開発プロジェクトのリーダーを務めるグループのPB「セブンプレミアム」では、新商品のワインをアメリカと同時発売して、話題を集めました。

大高 セブンプレミアムは、10年2月期で約1100アイテム、売上高約3200億円になる見込みで、ほぼ当初の計画どおりに推移しています。加工食品の売上高 における構成比は約10%、粗利益額構成比も約15%を占めるまでになっています。つねづね、PBはたとえ売上高が取れなくても、各カテゴリーの粗利益改 善に貢献しなければ、開発する意味がないと言ってきましたが、粗利益改善にも大いに貢献しています。

 11月4日には、グローバルPBの第1弾として、カリフォルニアワインの「ヨセミテ・ロード」(カベルネ・ソーヴィニョンとシャルドネの2品、各598円/750ml)をアメリカと同時発売しました。

 これは、セブン&アイ・ホールディングスのアメリカの子会社であるセブン-レブン・インクから「日本のPBを共有したい」という申し出を受けて開 発しました。カリフォルニア産の良質な単一品種のぶどうを原料にして、世界トップクラスのワインメーカーの「ザ・ワイン・グループ」が栽培や品質の管理を 一元化してつくっています。セブンプレミアムの開発ノウハウを生かして、原材料を一括調達して生産コストを削減し、598円(アメリカでは3ドル99セン ト)という低価格を実現しました。

 国内のグループ6社とアメリカのセブン-イレブンの合計約1万5000店舗で扱い、発売後1年間で日米合計約300万本を売る予定です。ワイン専門家からも「価格の2倍くらいの価値がある」と高く評価されています。

 今後は、10年度までにコーン缶詰、ツナ缶詰、コーヒー、果汁飲料、チーズなど、10品目のグローバルPBを発売し、アメリカだけでなく、アジアでの展開も視野に入れています。

──PBの課題は何でしょうか?

大高 セブンプレミアムの開発を始めてから2年以上たちましたが、ここにきて少し壁にぶつかっているようなところがあります。

 チェーンストアのPBは、1990年代にダイエー(東京都/西見徹社長)さんなどが積極的に開発したのを第1ステージとすると、ここ数年の各社の PB開発の広がりは第2ステージに位置づけられます。ここに来て、NB(ナショナルブランド)メーカーもPBに対抗して、いちだんと積極的に商品の見直し に取り組んでいます。

 しかし、PBは出しっぱなしのままで、リニューアルの仕組みが欠けて、それがPBの弱点になっています。そこで、セブンプレミアムも次のステージにつなげるために、現在、約800品目の商品の見直しをかけています。

 09年7月に、実験的に「プレミアムライフ向上委員会」というコミュニティサイトを立ち上げ、消費者を組織化して会員の声をPBのリニューアルや 開発に生かしています。10月には本格的に始動し、約1000人の会員を集めました。カテゴリーごとに会員の声を分析して、実際に「マヨネーズの口が大き すぎて、お好み焼きなどに使いづらい」などという声から、商品を改善して売上増にも寄与しています。

 今後はPBも見直しを図っていかないと、売上が頭打ちになってしまうと思います。品質、容量、パッケージ、デザインなど、つねに改善していく必要があります。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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