商品規格の見直しから共同物流まで イオン九州、ザ・ビッグのディスカウンティング戦略とは
イオン(千葉県/吉田昭夫社長)傘下で総合スーパーや食品スーパー(SM)などのほか、ディスカウントストア(DS)「ザ・ビッグ」を展開するイオン九州(福岡県/柴田祐司社長)。同業態ではローコスト運営と並行してイオングループのスケールメリットを生かした商品開発などに注力するほか、企業の枠を超えた連携で物流の効率化も図る。
サプライヤーと協働で商品企画を見直す

コロナ禍では消費者の生活様式が一変し、内食需要の拡大によって素材を取り扱うSMやDSが支持されたが、2022年3月に全国で行動制限が緩和されて以降、外食が回復基調となっている。また、コロナ禍を機に急拡大したデリバリーサービスは、その利便性の高さを実感したユーザーが継続的に利用し、定着しつつある。イオン九州執行役員ビッグ事業部長の椎名孝夫氏は「リアル店舗のみならず、デリバリーサービスを含めたさまざまな業態を競合として意識する必要がある」との認識を示す。
物価高騰に伴って消費者の生活防衛意識はますます高まってきた。イオン九州のDS業態「ザ・ビッグ」では、とりわけコモディティ商品の価格に対する感度が上がっているという。椎名氏は「お客さまが求める商品を取り揃えて値ごろ感のある価格で提供し、お客さまに満足してもらうことこそわれわれの使命だ」と基本的な考え方を示したうえで、「お客さまが値上げに敏感になっているならば、値上げをできるだけ避け、その期待に最大限応えていきたい」と語る。
原材料価格の高騰や円安など、商品を取り巻く環境も大きく変化している。仕入れ価格の上昇のみならず、世界的に供給不足に陥っているカテゴリーや輸入依存度の高いカテゴリーを中心に、調達しづらくなっている商品もみられる。こうした状況下、ザ・ビッグでは、サプライヤーの利益を適正に確保しながら価格を抑えるべく、サプライヤーとの協働の取り組みとして、たとえばおぼろ豆腐に付属するのりやあられをカットし、タレの品質を高めるなど、消費者が求める機能に絞り込んで商品規格を見直し、低価格を実現している。椎名氏は「DSであっても、仕入れた商品をそのまま販売するのではなく、商品設計そのものから考えるべき時期がすでに到来している」と現状を分析する。
全店の照明をLED化し、電力使用量を15%削減
低価格を維持するため、
値上げ時代の新価格戦略! の新着記事
-
2022/11/14
生鮮を安く売るマミーマート の生鮮市場TOPの価格戦略と売場づくりを徹底分析! -
2022/11/14
ヤオコーのDS、フーコットに見られた「進化」と客層拡大の理由とは -
2022/11/11
ディスカウンティングフォーマットのつくり方と成功の決め手 -
2022/11/11
激安総菜とPBに強み 値上げ時代に集客力高める大黒天物産の強さの秘密とは -
2022/11/10
店内作業30%削減に食用油高騰への秘策も…平和堂の「EDLC」政策とは -
2022/11/10
イトーヨーカ堂、グループを挙げた製造体制の強化でめざす「低価格づくり」とは
この特集の一覧はこちら [10記事]
イオン九州,ザ・ビッグの記事ランキング
- 2025-10-28ロピア出店加速で競争は新局面に 北海道・札幌の注目3エリアを徹底調査!
- 2025-10-17超小型店にエシカル新業態……イオン九州、新フォーマット続々開発のねらい
- 2025-09-09総合スーパー売上高ランキング2025 13社中11社増収も利益面には明暗
- 2025-10-15イオン九州、26年2月期上期決算は増収増益 シェア拡大戦略の全容とは
- 2024-09-10GMS売上高ランキング2024 イオン堅調もヨーカドー、ユ ニーは苦戦
- 2025-04-15増収・営業増益で売上高5000億円を突破! イオン九州の好決算を徹底分析
- 2025-09-13九州小売ランキング2025 コスモス薬品が売上1兆超え!
- 2019-06-24イオン九州とマックスバリュ九州、全店でレジ袋を有料化、9月から
- 2020-04-13イオン九州、マックスバリュ九州とイオンストア九州を吸収合併、9月1日付けで
- 2020-11-20柴田祐司社長が語る 新生イオン九州が進める「マイクロプロセスセンター戦略」とは?
関連記事ランキング
- 2025-10-23ついに「オーケー VS ハローズ」が現実に! 【今週の大店立地法速報】
- 2025-10-24買上点数は果たしてKPIとなりうるのか? 既存店売上を構成する「部分」と「全体」
- 2025-10-23松戸市内3店舗目で一気にシェア奪取?「生鮮市場TOP松戸新田店」を解説
- 2025-10-29ロピア、ヤオコー、マミーマート……首都圏の新激戦地、千葉・松戸エリアを案内!
- 2025-10-29駅前再開発が熾烈な競争を誘発!? 埼玉・所沢エリアの視察ポイント
- 2025-10-31伊勢崎、高崎に一挙2店舗を出店! ロピア群馬1、2号店の売場を徹底解説
- 2025-10-27過熱する”越境出店”……今、東日本各エリアを徹底的に視察すべき理由
- 2025-10-21“南北いいとこどりMD”に挑戦!「ヤオコーまるひろ上尾SC」の売場を解説
- 2025-10-28東北随一の成長市場 宮城県名取・利府エリアの視察コースを案内!
- 2025-10-09食品スーパー市場占有率2025 大型再編続発で上位集中加速は必至の情勢
関連キーワードの記事を探す
東京23区2店舗目「ヤオコー板橋四葉店」は”精肉強化型”の売場に
バロー、大阪屋ショップと競合! 平和堂が富山県高岡市にNSC新設へ【今週の大店立地法速報】
過熱する”越境出店”……今、東日本各エリアを徹底的に視察すべき理由
イオン九州、26年2月期上期決算は増収増益 シェア拡大戦略の全容とは
総合スーパー売上高ランキング2025 13社中11社増収も利益面には明暗
今週のスーパーマーケットニュース マルエツ、「従業員文化祭」を開催!
米価の値頃は今3000円台? 「価格はお客さまが決める」の真理
インフレ下における2年連続の大幅賃上げ=2024年の小売業を振り返る
7社の「勝ち」フォーマットを徹底検証!インフレでも強いスーパーマーケットの条件とは






前の記事
