ディスカウンティングフォーマットのつくり方と成功の決め手
新型コロナウイルス感染拡大で本来進めるべき改善・改革が停滞していた流通小売業界。しかし、今年に入ってからのウクライナ情勢に端を発する各種コスト増によって、いよいよフォーマットの再構築が求められている。その新たなフォーマットは、食品も非食品もディスカウンティング型をめざすべきだ。そのつくり方と成功のための要点を伝授する。
ディスカウンティングで同質競合から脱却する
日本の流通業は完全なオーバーストアである。そのため新店が少なくなったが、それでも店数を増やしている企業は存在し、その多くがディスカウンティングフォーマットである。米国の先進事例をみても大手の大部分がディスカウンティングフォーマットなのである。
理由は2つある。第1に品揃えと価格で他社と差別化できる。第2に従来型のフォーマットより小商圏で成立するから多店化しやすい。つまりディスカウンティングフォーマットは競争に強いのである。
本連載ですでに述べたように、多くの既存フォーマットは開発から30年以上が経過し、寿命を迎えている。ところがその再構築が遅れているために、経営状態は悪化しつつあった。
その停滞期をコロナ禍が襲い、本来の改善・改革は遅れている。
追い打ちをかけたのは今年になってから目立つ仕入れ価格の高騰である。材料費の値上げのみならずエネルギーコスト、物流コスト、保険などの間接コストの上昇、さらに驚異的な円安により仕入れ原価が急騰していることだ。そのうえロシアによるウクライナ侵攻はベーシックニーズの供給不足を招いた。したがって現状維持は無理なことは誰の目にも明らかだ。
以上の理由でフォーマットの再構築は不可欠である。しかも新フォーマットは食品も非食品もディスカウンティング型でなければならない。同業者と同じ土俵に立つことなくチェーン化を進める手段であると同時に、このフォーマットは困窮した消費者に恩恵をもたらすからである。
ディスカウンティングフォーマットは割引価格で勝負するのではない。経営を支える2本柱は「ラインロビング(低価格帯の奪取)」と「ローコストオペレーション」である。
●価格政策
EDLPとラインロビング
価格政策は第1に、
値上げ時代の新価格戦略! の新着記事
-
2022/11/14
生鮮を安く売るマミーマート の生鮮市場TOPの価格戦略と売場づくりを徹底分析! -
2022/11/14
ヤオコーのDS、フーコットに見られた「進化」と客層拡大の理由とは -
2022/11/11
ディスカウンティングフォーマットのつくり方と成功の決め手 -
2022/11/11
激安総菜とPBに強み 値上げ時代に集客力高める大黒天物産の強さの秘密とは -
2022/11/10
店内作業30%削減に食用油高騰への秘策も…平和堂の「EDLC」政策とは -
2022/11/10
イトーヨーカ堂、グループを挙げた製造体制の強化でめざす「低価格づくり」とは
この特集の一覧はこちら [10記事]
関連記事ランキング
- 2024-11-20四国2号店は大型店!メガセンタートライアル善通寺店の売場づくり解説
- 2024-12-09オーケー進出で関西市場はこう変わる!ライフ、万代、有力小売の戦略は?
- 2024-12-09関西1号店にお客殺到!オーケー高井田店を徹底解説、その破壊力は?関東との違いは?
- 2024-12-10オーケー二宮涼太郎社長が関西を語る、価格競争力への自信と今後の展開!
- 2024-11-14本当にコストコで節約はできるのか? 現役主婦から見たコストコ商品の評価_過去反響シリーズ
- 2020-11-10ムダを徹底的に省くことで低価格を実現する愛知の隠れた有力スーパーカネスエ、強さの秘密を分析
- 2022-07-26生鮮強化で“大化け”したトライアルカンパニーが日本の小売を席巻するワケ
- 2023-09-18ベルクの新フォーマット、「クルべ」徹底分析!他のディスカウントSM との決定的な違いとは
- 2023-11-02徹底分析!ロピアVS トライアル、福岡生鮮ディスカウント頂上決戦の勝者
- 2024-09-14関東の小売業都県別売上ランキング2024 オーケー、ベルクが2ケタ増収!
関連キーワードの記事を探す
オーケー二宮涼太郎社長が関西を語る、価格競争力への自信と今後の展開!
関西1号店にお客殺到!オーケー高井田店を徹底解説、その破壊力は?関東との違いは?
オーケー進出で関西市場はこう変わる!ライフ、万代、有力小売の戦略は?