個店対応力を磨き、ID-POSデータ分析に本腰!取引先が明かす、大阪・万代が強い理由

Pocket

万代1280

激変のフェーズに入った関西小売市場において、万代が躍進する理由とは何か──。本誌では、同社と取引のある某メーカーの社員2名(Aさん、Bさん:仮名)に協力してもらい座談会を開催。取引先としての視点で、万代の強みについて語ってもらった。

「ふつうのSM」を「個店で追求」する強さ

──まずは、関西エリアの食品スーパー(SM)市場の現状についてどう見ていますか。

Aさん 関西エリアのSM市場はコロナ禍で大きな分岐点を迎えました。かつて関西を代表するチェーンだった関西スーパーマーケットはオーケーとの“買収騒動”を経てエイチ・ツー・オー リテイリング(以下、H2O)に、光洋、マルナカ、山陽マルナカなどもイオングループとしての色が強まり、それぞれのカラーがやや薄れている印象があります。また、阪急オアシスや近商ストアのような、駅前立地に多くの店舗を展開する電鉄系SMは、コロナ禍での鉄道利用客減少の影響をもろに受け、苦戦しました。

 他方、阪神エリアを拠点とするマルハチや北摂(大阪府北部)エリアを中心に展開するマルヤス、主に神戸エリアで小型店を展開するトーホーストア(兵庫県)といったローカルSMは地域に根差した魅力ある店づくりによって一定の支持を安定的に得ているものの、近年は店舗数がほとんど増えておらず、存在感が大きいとは言えません。

Bさん そうしたなかでの首都圏の有力チェーン進出は、市場に大きなインパクトを与えているのは確かです。ロピアは20年の関西進出以降、着実に店舗数を増やしていますし、24年に関西1号店をオープンするオーケーも、自力出店に加えM&A(合併・買収)の可能性も取りざたされています。関西のSMチェーンは大なり小なり、警戒度をアップさせているはずです。

──そうした市場環境のもと、万代はどのような戦略で成長を図ろうとしているのでしょうか。

Aさん まず、万代は生鮮食品を軸とするSMです。この点は以前から変わっていません。しかし近年は、とくに青果部門と鮮魚部門の進化に目を見張るものがあり、入口付近で青果の特売品を大量陳列して安さを訴求したり、ライブ感を演出しながら鮮度の高い魚を対面販売したりといった取り組みが各店で行われています。それと並行して総菜の強化や冷凍食品の拡充、プライベートブランド(PB)「万代選品」の商品開発などにも取り組み、顧客の支持を集め続けているのです。

 「そんなのSMとして当たり前じゃないか」と思われるかもしれません。しかしその「当たり前」を追求し続けてきたのが万代の何よりの強みであり、競合するSMに対する優位性になっていると思います。

万代
「ふつうのSM」を「個店」で追求するのが万代の強みの1つだ

Bさん 私が直近で注目しているのは若年層への対応です。

続きを読むには…

この記事はDCSオンライン+会員限定です。
会員登録後、DCSオンライン+を契約いただくと読むことができます。

DCSオンライン+会員の方はログインしてから閲覧ください。

構成

ダイヤモンド・チェーンストア編集部 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア

ダイヤモンド・チェーンストア編集部は、業界をリードする提案型編集方針を掲げ、小売業の未来を読者と共に創造します。私たちは単なるニュース伝達に留まらず、革新的なビジネスモデルやトレンドを積極的に取り上げ、業界全体に先駆けて解説することを使命としています。毎号、経営のトップランナーへの深掘りインタビューを通じて、その思考や戦略を読者に紹介します。新しくオープンする店舗やリニューアルされた店舗の最新情報を、速報性と詳細な分析で提供し、読者が他では得られない洞察を手に入れられるよう努めています。私たちの鋭い市場分析と、現場の細部にわたる観察を通じて、注目すべき店舗運営の秘訣を明らかにします。

ダイヤモンド・チェーンストア編集部紹介サイトへ

関連記事ランキング

関連キーワードの記事を探す

© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態