PBが全国区で人気のスーパー、ツルヤ その強さの根底にある「緻密な戦略」とは

調査・文:市谷 誠
Pocket

食品スーパー1280

長野県を地盤に食品スーパー(SM)を展開するツルヤ(掛川健三社長)。徹底した売場標準化の取り組みや、独自性の高いプライベートブランド(PB)の開発、そして圧倒的な集客力の高さで知られる。価格訴求に依存せずに、どのような店舗・商品づくりでいかにお客を集めているのか。売場、商品政策(MD)、店舗オペレーションなどさまざまな切り口から分析してみた。※文中・写真の価格はすべて本体価格

ツルヤの「強み」

  • シンプルだが無機質にならない戦略的売場づくり
  • PBでロングセラーを生み出す商品開発力
  • 徹底的に標準化されたオペレーション

地域一番店を各商圏で展開

 ツルヤは地盤とする長野県に37店舗、2020年に進出した群馬県で3店舗の計40店舗を有し、22年6月期の売上高は1160億円となっている。今年6月には群馬県前橋市に「ローズタウン店」を開業する予定。新たな商勢圏である群馬県でも熱烈な支持を集め、店舗網を着実に拡大しつつある。

ツルヤ
ツルヤ企業概要
●本部所在地: 長野県小諸市御幸町2-1-20
●設立: 1950年(創業1892年)
●代表者: 代表取締役社長 掛川健三
●売上高: 1160億円(22年6月期)

 同社の売上推移に目を向けると(図表)、15年6月期の売上高は764億円、当期純利益は16億円だったのが、21年6月期にはそれぞれ1066億円、20億円となっている。この6年間で売上高は139.5%、当期純利益は125%の伸長率を示しており、売上と利益をバランスよく拡大しているといえる。

 新規出店数の推移は、16年度2店舗、17年度1店舗、18年度はゼロ、19年度1店舗、20年度2店舗、21年度1店舗、22年度2店舗と、1年に1~2店舗のペースで新店を出しており、投資と収益のバランスを重視した出店政策をとっている。ちなみに21年6月期の自己資本比率は60%(本誌22年9月15日号「日本の小売業1000社ランキング」より)で、安全性の高い財務体質もツルヤの大きな強みである。

 1店舗当たりの平均年商は、21年6月期の売上高ベースで約

続きを読むには…

この記事はDCSオンライン+会員限定です。
会員登録後、DCSオンライン+を契約いただくと読むことができます。

DCSオンライン+会員の方はログインしてから閲覧ください。

1 2

関連記事ランキング

関連キーワードの記事を探す

© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態