アルディ、リドルだけじゃない!欧州の注目DS、ペニーとネットーを知っているか?

ダイヤモンド・チェーンストア編集部
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オーガニック強化型DS「ネットー」
ポーランドの店舗数が倍増

ネットーの外観
デンマークのサリンググループ傘下のDSであるネットーは、オーガニックの生鮮食品を380品目以上品揃えし、デンマークでオーガニック食品を最も多く販売している小売企業だ

 ネットー(Netto)は、デンマークの小売企業サリンググループ(S a l l i n gGroup)傘下のDSだ。1981年にデンマーク初のDSとして創業して以来、デンマーク国内で516店舗(2019年度末時点)を運営するほか、ドイツとポーランドでも事業を展開している。1990年にはデンマーク国外で初めて英国へ進出したものの、2016年に撤退。19年には、スウェーデンの消費生活協同組合コープスウェーデン(Coop Sverige)にスウェーデン内の163店舗を売却し、スウェーデンからも撤退した。その一方で、20年6月、英国食品スーパー(S M)最大手のテスコ(Tesco)からポーランド内の301店舗を買収し、ポーランドの店舗数をほぼ倍増させている。

 ネットーでは、オーガニック専門P B「オゴ(ØGO)」や、デンマークの食品加工会社ロキスモーセ(Løgismose)との80品目以上のコラボ商品をはじめ、1800品目以上の定番商品を取り扱い、EDLP政策によりいつでも低価格で販売している。また、これらの定番商品に加え、食品や日用品、衣料品、家具などの商品を毎週入れ替え、売り切り方式で安く販売している。

 デンマークは、国内で販売される食料品の約8%をオーガニック食品が占める世界有数の「オーガニック先進国」として知られる。なかでもネットーは、オーガニックの生鮮食品を380品目以上品揃えし、デンマークでオーガニック食品を最も多く販売する小売チェーンだ。デンマークの消費者団体「デンマーク消費者評議会」がデンマーク国内の食品小売企業12社を対象にオーガニック食品15品目の総額を比較した20年度の価格調査によると、ネットーの価格は217.70クローネ(約3592円:1クローネ=16.5円で換算)で、最安値のリドルとほぼ同等だった。

定期購入型ECを展開

ネットーの公式スマートフォンアプリ「ネットー・プラス」
ネットーの公式スマートフォンアプリ「ネットー・プラス」

 ネットーは、スマホアプリを活用した販促にも取り組んでいる。20年6月にリリースされた公式スマホアプリ「ネットー・プラス(Netto +)」では、アプリ限定の特売情報を毎週配信するほか、ユーザーごとの嗜好やニーズに合わせて6品目の商品の割引クーポンを毎月発行している。また、バーコード読み取り型専用セルフレジアプリ「ネットー・スキャン&ゴー(N e t t oScan & Go)」によるレジレスサービスをデンマークの71店舗で導入(20年10月時点)。この専用アプリに決済手段を登録したうえで、店舗で商品のバーコードを読み取りながら買物をしてアプリ上で精算し、専用機にレシート画面をかざして退店する流れとなっている。

 ネットーでは、デンマークでのECへの需要増にも対応している。サリンググループ傘下の定期購入型E C「フィロップ(Filop)」と提携し、常温の加工食品や飲料、酒類、日用品など1800品目を対象に、定期購入サービスを実施している。ユーザーが専用スマホアプリで商品と配達頻度を指定すると、商品が定期的に宅配される仕組みだ。

ネット―の定期購入型EC「フィロップ」を活用した宅配サービス
定期購入型EC「フィロップ」を活用した宅配サービス

 ネットーの売場面積は標準店で700~900㎡、大型店で2000㎡と、リドルやアルディよりも小規模な店舗が多い。19年以降は10億クローネ(165億円)を投資し、青果売場を拡大させ、即食商材の品揃えを拡充した新しい店舗フォーマットの導入を進めている。既存店を中心に、20年末までに155店舗でこの新フォーマットを導入し、24年末までには全店舗での転換を完了させる計画だ。

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