欧州で浸透、日本でも?持続可能な「サステナブル・パッケージ」の潮流とは
欧州の食品小売業界では、リユース(再利用)・リサイクル(再生)可能なパッケージや生分解性素材でできた包材など、衛生管理や品質保持のための性能を満たしながら、環境負荷を抑えてサステナビリティ(持続可能性)に寄与するパッケージの導入が広がっている。ここでは食品小売の主要部門別に、現地での最新事例を取り上げ解説する。
※1ユーロ=155円換算
「金銭的負担が増えてもいい」高まる消費者の環境への意識
サステナビリティの実現に寄与する環境配慮型パッケージ(以降、サステナブル・パッケージと本稿では表現)が欧州小売市場で広がっている背景の1つには、消費者の関心の高まりが挙げられる。
2023年3月にマッキンゼー&カンパニー(McKinsey & Company)が世界11カ国で実施したアンケート調査によると、欧州・米国・日本では「最も懸念する環境への影響」として「海洋ごみ」が挙げられた。また、回答者の過半数が「サステナブルなパッケージのためにより多くの費用を支払ってもよい」との意欲を示し、その傾向はとくに青果と精肉の商品に対して高くなっていることがわかった。
また、EU(欧州連合)では、包装廃棄物の削減に向けてより厳しい規制が検討されている。22年11月に発表された規制案では、加盟国に対して、人口1人当たりの包装廃棄物の排出量を40年までに対18年比で15%削減するよう求めている。
こうした消費者の環境に対する意識の高まりと法規制の厳格化によって、欧州の小売企業、とくに食品スーパー(SM)をはじめとする食品小売業では、サステナブル・パッケージの導入が加速度的に広がっているのである。以降、各企業のサステナブル・パッケージに関する取り組みを、主要な部門別に整理してみていきたい。
量り売り主流の青果で進む使い捨てポリ袋からの脱却
まずは青果だ。欧州のSMでは
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