デジタル投資は一巡 欧州小売が進める、アフターコロナのデジマ戦略とは
世界各国から小売業界のトッププレーヤーが集い、最新トレンドを議論する「Shoptalk」。毎年米ラスベガスで開催されたのち、その欧州版「ShoptalkEurope」が開催される。筆者は今年も同イベントに参加し、主にデジタルマーケティングの領域での各社の取り組みを調査・取材した。その模様をレポートする。
※1ユーロ=155円換算、1ポンド=185円換算
デジタル投資が一巡し、顧客体験の再考フェーズに
今年5月9~11日、スペインのバルセロナで開催された「Shoptalk Europe2023」。会場に集った多くの登壇者や参加者からは、これから長期化が予想されるインフレに対して、コロナ禍で急ピッチに進めた「DX投資」を見直す必要性を指摘する声が聞かれた。

たとえばBOPIS(ネットで注文した商品の店頭受け取り)・BORIS(同 店頭での返品)やカーブサイドピックアップ(同 駐車場での受け取り)といったサービスは、店舗にお客が戻ってきた現在、コロナ禍と同様の規模や仕組みで提供することが正解ではないことは明確だ。店舗オペレーションが複雑化することで、優れた店舗体験や接客機会を妨げてしまうという矛盾をどう解消すべきか、といった議論が多くなされた。
つまりデジタル投資が一巡した今だからこそ、高いレベルでの顧客体験とエンゲージメントをあらためて確立する必要があるのだ。そしてそこには、消費者の関心が高まり続けているサステナビリティ(持続可能性)を考慮した方向性を示すことも求められる。
そこで本稿では、Shoptalk Europeのセッションで紹介された、サステナビリティを絡めた欧州ならではのデジタルマーケティングの事例として、欧州を代表する3つの小売企業の取り組みを紹介していく。
デカトロン(DECATHLON)
顧客の「行動」にもポイント付与し、取得データの幅を広げる
世界72カ国に展開するフランスの大手スポーツ用品専門小売のデカトロンは、
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