流通の近代化が急加速!ウォルマートも欧州小売もねらう「アフリカ小売」の可能性
「アフリカの小売市場」に関心を持つ人は、日本では多くないだろう。もちろん国ごとに事情は異なるが、一部の国では流通業の近代化が急速に進んでおり、アフリカ外の小売大手も市場の深耕に動くほか、日系の消費財メーカーや商社も販路拡大を開始している。知られざるアフリカ小売市場について解説する。
アフリカ小売最大手「ショップライト」の強さ
アフリカにおいて、流通インフラが最も高いレベルで整備されているのは南アフリカである。同国には約2000のショッピングモールが存在するが、この数は日本に次いで世界5位だ。また、初めてスーパーマーケット(SM)が登場したのは1950年代で、実は日本とほぼ同時期である。
鉱物資源が豊かな南アフリカでは、それを運ぶための道路、鉄道、港湾、電力といった物流インフラが早くから整備されてきた。それとともにモータリゼーションや都市化が進み(人口の66%が都市部に居住)、流通産業の発展も早かったのだ。実際、南アフリカでは地方部に行ってもSMが存在しており、冷凍食品や加工度の高い食品も広く普及し、一般的な生活スタイルは先進国と変わらない。
また、南アフリカでは、小売側もメーカー側も買収を繰り返し、今ではSM上位6社が近代的小売市場において86%のシェアを占める。食品市場も、ナショナルブランド上位9社が市場の27%、上位20社が50%を占め寡占化が著しい。
そんな南アフリカを本拠とするアフリカ最大の小売企業が、Shoprite(ショップライト)である。安定成長を続ける優良企業として知られ、国の経済の悪化、インフレ、コロナ禍でも大きな影響を受けずに好調を維持し、2022年の売上高は1840億ランド(22年12月末の為替レートで約1兆4000億円)、税引前利益率は4.5%と高い収益性を誇る。近年はDX(デジタル・トランスフォーメーション)の取り組みにも注力し、コロナ以降、アプリで注文を受けた商品を店舗から1時間以内に配送するサービスを開始した。実際に同社のSMに行くと、店内で商品をピックアップするスタッフが数十人単位で稼働しており、ニーズの大きさが実感できる。
ちなみに南アフリカでは、
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