魚肉たんぱく質から健康を考える。 その健康価値に注目が集まる

サテライトスコープ:森本 守人
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水産加工食品業界では、魚肉たんぱく質のよさを知ってもらい、消費につなげようとする動きが強まり見せる。健康に与える好影響や高い消化性などを学術的に研究するほか、消費者へ積極的にアピールすることで世の中の注目を集めようとしている。徐々に広がるユニークな活動を紹介する。

魚肉たんぱく質から健康を考える

 海に囲まれ、水産資源が豊富な日本。われわれの先祖は長く魚を食べてきたことで、今日の長寿国としての地位を手に入れた。しかし「魚離れ」と言われて久しく、近年、食生活は大きく変化している。

 そのなか、今年3月に誕生したのが「お魚たんぱく健康研究会」だ。企業や研究者、学生、一般市民などが連携して魚肉たんぱく質の機能性を研究、解明、さらに社会へ広く浸透させることをめざす組織である。

お魚たんぱく健康研究会 会長の渡部終五氏(右)、事務局長の鈴木博晶氏(左)
お魚たんぱく健康研究会 会長の渡部終五氏(右)、事務局長の鈴木博晶氏(左)

 設立の背景を、同研究会の鈴木博晶事務局長は次のように説明する。

 「EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)といった魚の油は知られている。しかし魚肉には、よいたんぱく質が多く含まれていることを知っている人は意外に少ない。こうした現状に対し、その素晴らしさを世の中に発信する研究会を立ち上げたいと考えた」

 日本人が摂取する栄養に目を向けると、急速に減っているのがたんぱく質である。中でも、重要と言われる動物性たんぱく質の摂取源が急激に変化している。かつては多かった魚介類が減少する一方、畜肉類は増加。2007年頃を境に、日本人1人当たりの摂取量が逆転したまま歯止めがかかっていない【図表①】。

[図表❶] 日本人1人当たりの動物性たんぱく質の摂取量
資料 : 厚生労働省「国民栄養調査」(平成7~14年)、「国民健康・栄養調査報告」(平成15~30年、令和元年)のデータを用いてグラフを作成

 年齢別では、とくに40〜50歳代については、1995年の摂取量を100とすると直近データでは80%を切っている。同研究会では「異常な減少状態にあり、将来の健康劣化が危惧される」と指摘している。

 そこで注目されるのが、魚肉たんぱく質だ。「魚肉たんぱく質は、20種類のアミノ酸で構成された完璧なバランスの動物性たんぱく質で、畜肉と比べるとはるかに消化吸収もよい」と同研究会の渡部終五会長は話す。

 魚肉たんぱく質の優位性は、データでも証明されている。

 昨今、正確にたんぱく質の栄養価を評価できる指標として用いられているのがDIAAS(Digestible Indispensable Amino Acid Score:消化性必須アミノ酸スコア)。これによれば、植物性たんぱく質よりも動物性たんぱく質のほうが値が高く、そのなかでも魚のすり身を原料とするかまぼこはとくに高い値を示す【図表②】。さらに、消化性が高い一方で低脂質のため、高齢化が進行する時代にあっては、理想のたんぱく源と言える。

[図表❷] 食品およびたんぱく質素材のDIAAS
かまぼこの値は公益財団法人山口県予防保健協会食品環境検査センターによる分析結果を基に算出。ほかは、植木暢彦 (2022) : 魚肉タンパク質と魚肉ペプチドでスポーツに適した体に、アクアネット; 25:27-32およびPhillips S.et al.Front.; 4: 1-10(2017)の値を参照

 同研究会では、これら魚肉たんぱく質の機能性を研究、さらに体に入ってからのメカニズムの解明をめざす。参画する有識者が、それぞれの専門分野から魚肉たんぱく質のよさを解説するセミナーやシンポジウムなども定期的に開催して、情報発信していく予定だ。

 鈴木事務局長は、「研究会では広く会員を募っており、食品スーパーのバイヤー様、企画ご担当者様にもぜひご参画いただきたい。販促を行う際の有益なヒントもご提示できると思う」と話している。

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