サミット服部哲也社長が語る、事業とサステナブル経営を両立させる仕組みと取り組み

聞き手:阿部 幸治 (ダイヤモンド・チェーンストア編集長)
構成:リテイルライター:太田美和子
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サステナブル

東京都を中心に食品スーパー(SM)を展開するサミット(東京都)は、2022年度までの3カ年中期経営計画「GO GREEN 2022」(以下、GG2022)において、成長戦略そのものにサステナビリティを組み込み業界でも注目を集めた。SM事業を通じて社会貢献も同時に果たすことで、将来にわたって選ばれ続ける存在をめざす。SM企業は、サステナビリティの実践によって成長を実現できるのか。サミットの23年度からの新中計もスタートしたなか、取り組みの進捗や成果、今後の経営方針を服部哲也社長に聞いた。

サステナブル経営が「結果」につながるように

──「GG2022」から、「社会に必要とされる新しいSMの創造」をサブテーマに、本業を通じて、地域の社会課題の解決にも取り組むことを成長戦略に掲げました。

服部 17年、社員・お客さま・お取引先さまに喜んでいただけることをめざし「サミットが日本のスーパーマーケットを楽しくする」を事業ビジョンに掲げました。GG2022では、世の中の価値観が大きく変化するなか、この3者だけでなく、重要なステークホルダーとして「社会」を加えました。

 当社では、SMとして「ふだんの食事の材料を提供する店」であることが使命だと、入社時から社員に繰り返し伝えています。そのため以前から、SMは地域のお客さまのニーズに根差した社会的な機能を果たすべきだという共通意識がありました。

サミット代表取締役社長 服部哲也i
服部哲也(はっとり・てつや)
●1964年3月生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業後、1987年10月サミット入社、2010年6月執行役員、12年6月常務執行役員、14年6月取締役常務執行役員、17年6月取締役専務執行役員、20年4月から現職

 そんな組織風土こそ当社と他社との違いであり、会社の核に据えるべきだと、社会的な視点を中計に盛り込みました。そして、それは今年度から3カ年の新中計「頂(イタダキ)2025」でも同様です。

 さらに、具体的にどのような店にしたいかについてもマネジメント層を中心に膝を突き合わせて議論しました。そして、導き出したコンセプトが「生きる糧(かて)を分かち合う店」です。“分かち合う”のですから、お客さまが居心地のよい空間を“家族”のような近い存在として提供・共有する──。それが、サミットがめざす店です。

──事業の持続可能性と、環境・社会・企業統治の3つの観点での持続可能性とを両立させるサステナブル経営に、SM企業として先行的に挑戦しています。進捗はいかがでしょうか。

服部 現在の方針の効果を感じた2つの体験談があります。

 まず先日、企業経営に関する見識の深い著名な方から、サミットに来店された感想をメールでいただきました。サミットの店舗では、お客さまと社員の関係が互いにリスペクトし合っている関係に見え、めざす「生きる糧を分かち合う店」が実現できているといった内容でした。各店舗が創意工夫をした結果、それがお客さまにも伝わっているのだとすれば嬉しいことであり、さっそく、社員全員に共有しました。

 もう1つは、店回りをした際の、業績好調なとある店舗の店長との会話です。

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聞き手

阿部 幸治 / ダイヤモンド・チェーンストア編集長

マーケティング会社で商品リニューアルプランを担当後、現ダイヤモンド・リテイルメディア入社。2011年よりダイヤモンド・ホームセンター編集長。18年よりダイヤモンド・チェーンストア編集長(現任)。19年よりダイヤモンド・チェーンストアオンライン編集長を兼務。マーケティング、海外情報、業態別の戦略等に精通。座右の銘は「初めて見た小売店は、取材依頼する」。マサチューセッツ州立大学経営管理修士(MBA)。趣味はNBA鑑賞と筋トレ

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